J-inSPACEは、2023年6月に設立された新進気鋭のドローン事業者だ。太陽光をはじめとした再生可能エネルギーによる発電事業を営むNORTH ENERGY HOLDINGSと、韓国で初めて地球観測衛星の打ち上げを成功させたHANCOM GroupのHANCOM inSPACE社による合弁会社としてソフトウェア開発事業を主軸に設立された。
耐風・耐水性能で過酷な環境でも安心のULTRA SPIRIT
ブースには機体が4台展示されていた。そのなかで最も異彩を放っていたのが、アメリカ製ドローン「ULTRA SPIRIT」だ。見慣れたマルチコプターの形状と大きく異なり、円筒が縦に2つくっついたデザイン。2つの円筒に挟まれる形で、ヘリコプターのメインローターのようなプロペラが2つ備えられている。下部の円筒にはペイロードとしてカメラと、足代わりの棒が4本のび、自立していた。プロペラを含めた全長×全幅は648×648mm、全高は305mm、カメラ・バッテリーを含む重量は1.8kgだ。最大離陸重量は6.1kg、最高飛行速度は27m/sとなっている。最大飛行時間は58分と公表されている。
ドローンは斬新な形状であるが、耐風・耐水性能は一般的に流通しているドローンよりも高く「風速20m以上に耐えることができます。耐えられる雨量も100mm以上に対応しているので、ゲリラ豪雨の中や、台風が直撃しているような状況でも、ものともしない機体です」と担当者は胸を張る。
国内での導入は今後進めていくとのことだが、国際ドローン展では官公庁やインフラ、警備関係の事業者からも引き合いがあったという。「我々はニーズに応じて機体をカスタマイズして提供できます。もし台風の中でも飛行できるような機体を求められたら、『ステーション』と組み合わせて、自動でドローンが飛行し河川の氾濫状況を撮影・分析して報告するといった仕組みづくりから可能です。カメラも光学ズームやサーマルなど、各種取り揃えており、要望に合わせられます」(担当者)という。
ドローンポート「DS-SS」の展示とその機能
「ステーション」という言葉が出たが、いわゆるドローンポートのことで、ブースにはステーションである「DS-SS」が展示されていた。ドーム型の形状が独特で、ワイヤレスによる自動給電にも対応し、同社が現状でラインナップしているULTRA SPIRITのほか、「HD-850」「HD-550」「HD-300」といった一般的な形状のクアッドコプターで使用できる。
同社のステーションには、機体のバッテリーを物理的に交換する仕組みを持つ製品が存在する。今回は展示されていなかったが、「DS-S/L」は特許技術「バッテリー自動交換システム」に対応しており、使用したバッテリーから充電済みのバッテリーへと素早く交換し、ただちに飛び立てる。ワイヤレス給電で充電する時間すら無駄にしたくない使用シーンでは便利に活用できそうだ。
展示されていたクアッドコプターではHD-850が出色。雨天での飛行が可能で2kgまでのペイロードに対応。韓国では輸血用の血液を運んだ実績を持つという。同社ではステーションやこれらのドローン、さらにAI地上カメラを組み合わせた無人オートメーション警備システムを構築している。韓国では導入が進んでおり、年内には日本国内でも数か所で設置が進む予定。今後は警備にドローンを活用したい事業者などに提案したい考えだ。