おもにドローン向けの無線操縦装置や無線通信システムを展開するTKKワークスは、無人移動体画像伝送システムを採用したプロポやテレメトリー、画像伝送システムの製品を展示。また、新しい取り組みとして操縦とテレメトリー、画像伝送の機能を一体化した送受信システムを展示していた。

操縦、テレメトリー、画像伝送を一体化した新システムの特徴

 国内メーカーのドローンは、そのプロポ(コントローラー)に、Wi-Fiを始めさまざまな無線通信機器などに使われる2.4GHz帯の電波を使っているが、TKKワークスは2016年に総務省がドローン用に割り当てた「無人移動体画像伝送システム」を採用したプロポやテレメトリー、画像伝送装置を開発、販売している。同社の無線通信システムはリベラウェアのIBIS2にも採用されるなど、国産ドローンでの利用が広がっている。

 Japan Drone 2024の同社のブースでは、現在提供している169MHz帯のプロポや2.4GHz帯のテレメトリー送受信装置、5.7GHz帯の画像伝送装置などを展示。また、顧客から依頼されて開発した、頑強なデザインのプロポとクローラ型UGVを組み合わせたソリューションのデモンストレーションを行っていた。

TKKワークスの無人移動体画像伝送システムを採用したプロポ、テレメトリー、映像伝送システム。

 また、これまではこうした操縦、テレメトリー、映像の通信に、それぞれ169MHz帯、2.4GHz帯、5.7GHz帯の送受信機をドローン側に搭載する必要があった。そこで同社ではこれらの3つの周波数帯を同時に送受信できるシステムを開発。3つの送受信機能をひとつに集約し、送受信機から延びるケーブルをプロポ、PC、モニターに接続することで、スマートな運用ができるというものだ。

開発中の「2.4GHz&5.7GHz無線システム」。
中央の箱が操縦、テレメトリー、映像伝送というすべての通信を担う送受信機。箱の下から出るケーブルが、プロポ、PC(テレメトリー)、モニター(映像)に接続される。

CFRTPを使用したローターアームの設計と成果展示

 TKKワークスは無線通信システムの開発だけでなく、同社のグループ企業である東京航空計器の製品をはじめとして、ドローンそのものの開発も手掛けている。その一環として、三井化学の製品である炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(CFRTP)を使ったローターアームの設計支援を行っており、TKKワークスのブースの一角でその成果を展示していた。

TKKワークスブースの一角に設けられた、三井化学と共同で開発したCFRTP製品。

 三井化学の炭素繊維強化ポリプロピレン一方向シート「TAFNEX」を使ったローターアームは、一般的なカーボンパイプを使ったものと大きく異なり、モナカ構造の片側だけのような形状で、内部にリブを配することで強度を確保。積層したUDシートをプレスで成形するため、自由な形状を設計することができ、モーターマウントや機体との接合部といったパーツを一体で製造することができる。

 TKKワークスでは三井化学の振動評価・解析技術などを使って開発を進めており、現時点でカーボンパイプを使った一般的なローターアームに比べて、約60%の部品点数と約20%の重量を削減できるとしている。

CFRTP製のシートをプレスで成形したローターアーム。モーターマウント部や機体との接合部を一体化したモノコック構造となっている。

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