2024年6月4日、アドバンテックは、自律ドローンの知的制御に必要となるコンパニオンコンピュータプラットフォーム「BUD(Brain Unit for Drone)」のアップグレードを実施したことを発表した。

 2022年12月にリリースしたBUDは、2023年にドローンオープンプラットフォームプロジェクト(DOP)が提唱するDOP HUB構想の対応コンピュータとして認定されている。

 エコパートナーと実証実験を重ね、新たな特許技術も盛り込んだアップグレードを実施した。

【アップグレード内容】

1. BUDに各種デバイス(フライトコントローラー、カメラ、パラシュート、バッテリー等)を有線接続する際に防水機能を維持したまま容易に接続できる構造に変更、メンテナンス性を改善。

2. 筐体構造を大幅に見直し、筐体強度と放熱性能、ドローン本体への取り付け自由度を向上。

3. 超小型、超軽量、低消費電力で、従来のAI推論性能の約30倍のパフォーマンスを持つAI推論モジュール(Hailo-8エッジAIプロセッサー)の搭載が可能。

 2022年および2023年に航空法の規制が緩和され、ドローン産業の国内市場は拡大が見込まれている。同社は、産業用ドローンの社会実装が進んでいく中で、安全な飛行を実現するために、高い品質と信頼性をもつコンパニオンコンピュータプラットフォームの提供に寄与したい考えだ。

 また、産業用ドローンコンソーシアムであるドローンオープンプラットフォームプロジェクト(DOP)にも参画し、国内ドローン関連の製品・サービスの社会実装を加速するための活動を推進するとしている。

DOP「パートナーマップ」(2024年6月4日現在)(出典:ドローン・ジャパン)

 DOPでは、ドローンのコンパニオンコンピュータとして「DOP HUB構想」を提唱しており、ドローンのフライトコントローラー、バッテリー、パラシュート、カメラ等のあらゆるデバイスを簡単に統合でき、かつ、AI、遠隔操作、高可用性などの要素を含むさまざまなアプリケーション開発のスピードを加速させる環境の提供を目指している。

DOP HUB(BUD)の構成概要

ドローン・ジャパン 取締役会長 春原 久徳 氏のコメント

 ドローンが産業界での運用が本格化するにあたり、ドローンのサービス事業者や活用ユーザーにとって、より個々のニーズに応えるためのカスタマイズが重要になってきております。その際、機体メーカーだけでソリューションを提供することは難しく、水平分業型の産業構造を築いていくことが重要になります。その構造の中で各デバイスメーカーやアプリケーションメーカーにとって、共通化されたコンパニオンコンピュータである「DOP HUB」は各社のデバイスやソフトウェアを“繋ぐ”ための重要なコンポーネンツになります。

 産業用ドローン向けのコンパニオンコンピュータプラットフォーム「BUD」は「DOP HUB」に相応しいコンポーネンツとして、構想当初から協力いただき推進して参りました。

 今回の「BUD」のアップグレードにより、DOPパートナーにとって、より使いやすく、拡張性の幅が広がっていく形になっていくと期待しています。