国産のVTOL型ドローン「エアロボウイング」を開発したエアロセンスは、YellowScan製のLiDARを搭載したパッケージのほか、写真測量・基準点測量解析クラウド「エアロボクラウド」などを展示した。

VTOL型の強みを活かして広範囲な航空測量を実現 200haを30分で計測可能

「エアロボウイング」LiDAR搭載モデル。

 2020年に販売を開始したエアロボウイングは、これまで写真測量用のカメラなどが搭載機器として用意されていたが、新たにYellowScan製LiDAR「Mapper+OEM」がラインナップに加わった。エアロボウイング LiDAR搭載モデルは、広域航空測量の低コストソリューションとして提案している。なお、エアロボウイングは以前から巡回監視や写真測量用に販売されてきたが、搭載部の設計が異なるため、従来から提供されている機体にはLiDARを搭載することはできない。YellowScan製LiDARを使用する場合は、LiDAR搭載モデルを導入する必要がある。

機体中央下部に搭載されるYellowScan製LiDAR「Mapper+OEM」。波長は905nm、精度3cm、正確度5cm、スキャナ視野角70.4°、ショット数240,000/秒。重量は0.75kg。

 LiDARは機体中央下部にはめ込む形で搭載されており機体に凸凹がなく、風の抵抗を受けない。Mapper+OEMの性能は高度70m飛行で1m²あたり130点以上の高分解点群データを取得できるという。また、VTOL型ということで最大飛行距離が50km、フライト時間は約40分と長距離飛行を得意とする性能からも、広範囲の測量を行うには最適な機体といえる。

 マルチコプターによるレーザ測量が広く利用されはじめている中、数少ないLiDARを搭載できるVTOL型ドローンとして、より広範囲を高効率でかつ低コストで測量できるとして期待される。担当者は、「有事の被災状況把握や砂防点検、河川の監視、流域調査や植生把握などいろいろな用途に活用できます」と説明した。

測量業務の効率化を図る測量用画像解析クラウド「エアロボクラウド」

ドローンに関するデータや撮影した画像を管理し、処理・解析を行うクラウド型のアプリケーション「エアロボクラウド」。同社製品だけでなく主要なRTK/PPK測位ドローンにも対応。

 エアロボクラウドは、写真測量の初心者でも扱いやすい手軽さと、測量のエキスパートの業務にも十分対応したGNSS測位機能を兼ね備えたドローン測量用画像解析ソフトだ。ドローンで撮影した写真を高速で解析処理し、2次元・3次元のデータ、精度レポートや帳票などの成果物生成に加え、データの管理・共有、活用までをWebブラウザのアプリケーションで一元管理することができる。

 エアロボクラウドを利用することで、フライトの管理と共有も可能。GPSマーカーの自動処理、測量や点検などの処理・解析サービスなどにより業務を効率化する。また、クラウドサービスであるため、高性能なPCは必要なく、画像のアップロードから測量のためのデータ処理までWebブラウザだけで行えるのも特長だ。

 エアロボクラウドは同社製品以外の主要なRTK/PPK測位ドローンに対応しており、利用可能だ。現在、トライアルが実施されており、3カ月間無料でエントリープランを試してみることができるので、興味のある方は利用してみてほしい。

空撮しながらマーカーの位置も計測「エアロボマーカー」

エアロボウイングの右横に展示されたドローン用対空標識兼GNSS受信機「エアロボマーカー」(赤い円盤状のもの)。2級GNSS測量機登録と電算プログラム検定を取得した測量機器のため、公共測量にも使用が可能だ。

 日本初のドローン用対空標識兼GNSS受信機エアロボマーカーも展示されていた。ドローン測量では、地上に既知点となる対空標識を設置し、これが写り込むように空撮を行う。通常の対空標識はトータルステーションなどでその位置を測量する必要があるが、エアロボマーカーはGNSSの受信機を内蔵しており、空撮しながらマーカーの位置も自動的に測位できるので作業を大幅に効率化できる。

 スタティック測位を採用し、置くだけで約±1cmの精度で計測が可能で、エアロボクラウドとの連携により、高精度3次元モデルやオルソ画像を生成することができる。

 また、GPS機能を搭載したドローン用対空標識として2級GNSS測量機登録と電算プログラム検定を取得した測量機器のため、公共測量にも活用でき、「作業規程の準則」に準拠した帳票を測量成果として提出可能となっている。

 今後は国産ドローンメーカーとして官公庁向けの製品の強化、クラウドサービスの強化とともに、大型VTOLの開発を目指していくという。

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