快適空間FCは、建設・測量生産性向上展2023に出展し、フェニックス社製のライダーシステムを搭載したドローンを展示した。レーザ測量と写真測量が一体化した機器を搭載しており、より利便性が高く、幅広い用途に対応した測量用ドローンを提供している。

レーザスキャナーとイメージセンサーの一体化がトレンドに

 フェニックス社が展開するライダーシステムは、高解像度カメラや熱センサー、ハイパースペクトルセンシングなどのイメージセンサーとなっており、点群情報を取得するレーザスキャナーが主となっている。

 ドローンに搭載したレーザスキャナーは、上空から無数のレーザを放ち、地面や建物などの被写体に照射され、レーザ光はレーザスキャナーへと跳ね返ってくる。その時間から距離を推定し、被写体の形や高低差などを計測するといったものだ。放たれた無数のレーザは点としてデータを取得し、この集合体が点群データと呼ばれ、3次元モデルとなる。

UAV用のレーザスキャナーのRECON-XT(左)とminiRANGER-3(中央)。レーザスキャナーと写真測量用カメラを一体化したRANGER ULTRA(右)。

 これまで、ドローンへの搭載を可能にした「SCOUT-M2X」をはじめ、「P-360」や「miniRANGER-3 LITE」といったレーザスキャナーをラインアップしてきたフェニックス社だが、新たにレーザスキャナーと高解像度カメラを一体化した「RANGER ULTRA」や、グリーンレーザと高解像度カメラを一体化した「HydroRANGER」を展開している。

ドローンのペイロード増加で高性能なライダーシステムの搭載が可能に

13kgのHydroRANGERを搭載したPD6B。飛行時間は約20分。

 快適空間FCが出展したドローンは、HydroRANGERを搭載しており、河川や貯水池、ダム等の測量業務が可能だ。従来のレーザスキャナーはDJI社のMatriceシリーズなどへの搭載が可能であったが、HydroRANGERの重量は13kgと重く、搭載可能なドローンも限定される。快適空間FCは、PRODRONEのPD6Bに搭載して提供している。なお、ライダーシステムは非常に高価なため、快適空間FCは気軽にドローンによる測量を利用してもらうべく、派遣型の測量サービスとして同製品を扱っている。

HydroRANGERに備え付けられた写真測量用のカメラ。

 HydroRANGERは、水中の地表面の点群データを取得することができる。従来のグリーンレーザは、濁った水中における正確な測量が難しかったが、HydroRANGERはその点が改善されている。一般的なUAV用グリーンレーザは、水深2~3mのデータ取得が可能とされていたが、その倍となる5~6mの測量も可能だという。なお、水中だけでなく陸部の点群データも取得可能であり、これに併せて、備えられた高解像度カメラで写真測量を行うことで、点群データに写真データを合成していくことができる。点群データは拡大すると点の集合体となってしまうが、写真データを貼り込むことで非常に精細な三次元モデルが完成する。

 グリーンレーザの運用は水の濁り具合や太陽の向きのほか、水流や波といった関連するさまざまな環境によって条件付けられてしまう。そのため、快適空間FCでは、これまでの測量実績から得た知見をもとに、解析用のソフトウェアで水面の補正などを行い、可能な限り精度の高いデータ出力を心掛けているという。

快適空間FCが独自に搭載した「Nowbox」。位置情報やIMUによる角度の補完を行い、正確な点群位置をリアルタイムに導き出す。

 快適空間FCが提供する同製品の最大の特徴は、リアルタイムのデータ解析に対応したことだ。UAV用のグリーンレーザは、データ取得後にデータを持ち帰り、PCで確認する必要があった。そのため、測量範囲が漏れていたり、データに不備がある場合は、再度現場に足を運ばなければならなかったが、快適空間FCのドローンには、「Nowbox」というシステムが搭載されており、データを取得しながらリアルタイムにデータを確認することが可能だ。その結果、現場での不備を無くすことができ、二度手間となる作業も削減できる。

 測量サービスは、計測範囲の広さや地形などの作業環境によって変わってしまうが、おおよそ20haの測量で200~300万円で提供しているという。人手によって20haを測量しようとすれば、数か月を要してしまう。同製品を利用すれば、1日もかからずに作業を終えることができ、作業効率の改善や人件費のコスト削減に大きく貢献するだろう。

#建設・測量生産性向上展2023 記事