バーティポートの建設も本格化

 会場では空飛ぶクルマ関連の展示が多数あり、eVTOLが離着陸するバーティポートの設計モデルも紹介されていた。具体的にどこに設置されるものなのか説明はなかったが、複数の機体が運用できるポートとしては比較的大きなもので、利用が多い万博や関西空港近くでの設置が考えられる。

充電設備や待合ターミナル、整備用コンテナなどを配置したポートのコンセプト模型。

 そのほかの出展では、ヘリ用の離着陸に使用するバーティポート(Vポート)の開発を行うエアロファシリティーは、既存のバーティポートに可動式のパレットを組み合わせて複数のeVTOLが離着陸できるようなシステムを開発している。パレットはリモートコントロールが可能な自走式にすることで、オペレーションコストを削減する仕組みが検討されている。

 次に、エアモビリティ社は、さまざまな会社と連携して空飛ぶクルマの販売から運用、メンテナンスまで、サービスに必要なソリューションをワンストップで提供するプラットフォーム、ASCP(AirMobility Service Collaboration Platform)を構築し、海外メーカーのeVTOLを日本市場に導入する支援なども行っている。

 運用システムの開発も進めており、2023年2月には三重県で、空⾶ぶクルマのナビゲーションシステム「AirNavi」と離着陸場システム「IVport」の実証実験をeVTOLに見立てたドローンを使用して実施している。また、3月には世界初のドローンメーカーと部品メーカーを結ぶeコマースサイト「AeroMall」をオープンしており、会場でも紹介されていた。

eコマースサイト「AeroMall」の画面。

関心を高めるためのPR活動が増える

 さらに未来を見据えた動きとしては、スカイリンクテクノロジーズが開発を進めているチルトウイング・エンジンドライブによる中距離(1000km程度)を高速移動する機体を紹介していた。

スカイリンクテクノロジーズ株式会社は、有人航空機と空飛ぶクルマの両方の特長を組み合わせたモビリティ開発に取り組んでいる。

 大阪で空飛ぶクルマの事業を手掛ける企業には、東京をはじめ全国への展開を目指しているところも多く、そうした企業に向けて機体をアピールしようとしていることがわかる。

 今回の展示会では、空飛ぶクルマの実現に向けた動きが着実に進んでいることが実感できた。次に必要なことは肝心の利用者に関心を持ってもらうことで、現時点ではまだアピール不足だというのは、大阪府の空飛ぶクルマのPRコーナーにあるアンケート結果を見てもよくわかる。

 これまでにも実機の展示や飛行デモが行われているが、もっと身近に感じてもらうためには情報発信の機会が必要だろう。その点、PRコーナーに設けられていたVRを使ったシミュレーションは来場者の関心も高く、観光以外に緊急搬送で活用できるなど事例も具体的でわかりやすいのではないかと感じた。

 2年後の万博に向けて、大阪や周辺の関西で空飛ぶクルマに関するアピールがどのように行われるのか、今後の動きにも期待したい。

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