自動飛行機能を搭載した農業用途の産業用無人ヘリコプター「FAZER R AP」 YMR-IIとデータ共用も可能

農業用途の産業用無人ヘリコプター「FAZER R AP」。サイズは3665(L)×770(W)×1078(W)mm。タンク容量は液剤32L、粒剤30kg。レギュラーガソリンで燃料タンク容量は5.8L。

 マルチコプター型のYMR-IIのほか、シングルヘリコプター型の「FAZER R AP」も展示されていた。機体名のAPはAuto Pilotの略で、従来機「FAZER R」に自動飛行機能を追加した機体となっており、2022年春頃の発売を予定している。

 高度な操縦技術が求められる無人ヘリコプターに自動飛行機能を追加したことで、操縦者の負担を軽減するほか、農薬や肥料などの散布作業を効率化し、散布品質を均一化することが可能だ。

 担当者は「ドローンの散布能力は、散布可能な面積=バッテリーの数となる。その点、FAZER R APはガソリンエンジンなので充電時間が短縮できる。現状でいうと関東近辺だと1日で30ha前後、東北や北海道だと60~70ha前後の散布を行っている。このように広範囲を散布する場合、ドローンよりも無人ヘリコプターの使い勝手が優位であると思う」という。

新型自動飛行用アプリケーション「agFMS-IIm」。YMR-IIと同様に、「プロフェッショナルモード」と「シンプルモード」を搭載。もちろん、マニュアルで操縦もできる。

 自動飛行には、YMR-IIと同じ新型自動飛行用アプリケーション「agFMS-IIm」を採用した。実際には機体が違うので全く同じものではないが、マップデータなどが共用できる。

 「マップデータの共用は、例えば耕作総面積が広く、飛び地でたくさんの圃場を所有しているというケースなどで役立てられる。まずは圃場を測量してマップを生成し、FAZER R APですべての圃場に農薬を散布する。翌年、複数の圃場の除草をしたいという場合、FAZER R APだとキャパオーバーになってしまうので、マップデータを共用し、YMR-IIで除草作業を行うといった使い方ができる。最初の測量は手間がかかるが、1度マップを生成してしまえば、一斉防除(広域散布)はFAZER R AP、追肥や除草などにはYMR-IIを使用するといった使い分けが可能になる」とマップデータの共用について説明した。

 また、RTK方式はRTK-GNSS方式とネットワーク型RTK-GNSS方式が選択可能だ。操作に関しても自動飛行機能のほかに、自動飛行時にボタン操作で作動する自動離着陸機能を備えるほか、機体に接近することなく適正な距離を保った状態でエンジンスタートが行えるリモートエンジンスタート機能を持つ。