2022年10月6日、ヤマハ発動機は、産業用マルチローター「YMR」シリーズの新機種として、自動飛行機能を標準搭載した「YMR-II(ワイエムアール・ツー)」を、2023年春に発売することを発表した。メーカー希望小売価格は税込185万9000円。

 同機は、農業生産現場で得たノウハウの流出や機体の乗っ取り等を防ぐ情報セキュリティ機能、初心者でも運用が簡単な新型自動飛行用アプリケーション「agFMS-IIm」による自動航行および自動離着陸機能を持つ。
 6枚ローター(回転翼)レイアウトおよびボックスフレーム構造により安定した飛行が可能なほか、ワンタッチでアーム開閉が可能な新機構やカセット式散布タンク、丸洗い可能な防水性能(防水規格:IP55)等を備える。
 今後、粒剤散布装置、4Kカメラ、障害物センサー、追加散布ポンプ等のオプションを追加する予定だという。

 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構・NARO)が事業実施主体である国際競争力強化技術開発プロジェクトの「安全安心な農業用ハイスペックドローン及び利用技術の開発」を受託(2021年6月)したハイスペックドローン開発コンソーシアムの事業として開発したもので、機体の基本要素は他社でも利用可能な基盤技術となる。

 なお同社は、10月12~14日に幕張メッセで開催される「第12回農業Week」のヤマハ発動機ブースに、同製品を参考出品するとしている。

産業用マルチローター「YMR-II」

 ハッキング等による取得データの流出や、外部操作による機体乗っ取りを防ぐ情報セキュリティ機能を備え、機体との通信はAES256による暗号化通信を採用している。また、第三者機関による送信機アプリケーションのセキュリティ診断を実施するほか、ユーザーの意図に反した飛行ログアップロードを行わない仕様など、さまざまなセキュリティ対策を施している。

 新型自動飛行用アプリケーション(agFMS-IIm)は、上級者が詳細に飛行設定できる「プロフェッショナルモード」と、初心者でも簡単に飛行設定可能な「シンプルモード」を用意。シンプルモードでは、画面の指示に従うことで簡単に設定が完了する。
 また、高精度な測位を実現するRTK方式は、従来の基準局モジュールを用いるRTK-GNSS方式と、基準局モジュールが不要なネットワーク型RTK-GNSS方式が選択できる。

 6枚のローターは、外乱に強く安定した飛行と機体を軽量化するレイアウトを採用。アルミとカーボンファイバーの強化樹脂によるボックスフレーム構造により安定した飛行を実現した。ローターを折りたたみ収納すると、サイズは733×626×786mmとコンパクトになる(従来モデルとの体積比は約1/2)。

主な諸元
全長×全幅×全高(液剤タンク含む)1,970×2,157×786mm
(収納時:733×626×786mm)
最大離陸重量24.9kg以下
ローター枚数/配置6/6X
ローター径/形式26inch/CF 強化樹脂(折りたたみ式構造)
フレーム形式ボックスフレーム構造
アーム収納形式下方折りたたみ方式
バッテリー定格容量799Wh
定格電圧44.4V
バッテリーマネジメントシステムHBMS-SL 2
充電器通常充電 2.5h/急速充電 1h