ヤマハ発動機は産業用無人ヘリコプター「FAZER R G2」のほか、ドローン用シリーズハイブリッドコア コンセプト「SHEV」などを展示した。FAZER R G2は以前から開発されていた機体だが、2022年8月22日には従来よりも運搬機能および性能を強化した運搬専用機を開発したことを発表している。
運用目的に合わせて選べる最大積載重量50kgまでの選択肢を展開
ヤマハ発動機は2003年にリリースした「RMAX TypeⅡG」をはじめ、さまざまな産業用無人ヘリコプターやドローン用ハイブリッドエンジンを開発している。今回展示された大型ローター装着型FAZER R G2(以下、「大型ローター装着型」)は2016年に開発されたモデルの改良版として、標準仕様よりも大型のローターが搭載されている機体だ。
標準仕様FAZER R G2(以下、「標準仕様」)は最大積載重量が35kgの機体であり、計測・観測・監視・撮影・運搬等の産業用途向けに開発された自動航行型無人ヘリコプターである。例えば電力会社のあるふもとから標高の高い山中まで送電線の資材を上げる際など、従来は人力で行っていた重量資材運搬などに活用されることが多い。
大型ローター装着型では、新しく開発された従来モデルよりも0.24m程大きい半径1.8mのローターが搭載されている。これにより発生する推力が大幅に増加したため、標準仕様と同じ出力であっても15kg分増え、最大積載重量が50kgまで向上した。ただし、最大燃料タンク容量は標準仕様より6.2L減少した5.8Lとなっている。
担当者によると、「最大積載重量を50kgまで向上させるために、大型ローター装着型はエンジン自体を縮小した」という。続けて、「これに伴い、標準仕様よりも飛行可能距離や飛行可能時間は落ちたが、重量資材運搬のような決まった往路を繰り返す飛行の場合は燃料を継ぎ足せば問題ない。その分重量がある資材を運びやすくすることで、重量資材運搬に関する課題を解決できる機体である」という。
実際、標準仕様では1トンの資材を運ぶ場合は最低29回の飛行が必要なのに対して、大型ローター装着型は最低20回の飛行で運搬を完了することができるため、大型ローター装着型は時間・労力・金銭とさまざまなコストの削減に貢献する機体だと言える。
ヤマハ発動機はFAZER R G2を標準仕様・衛星通信仕様・大型ローター装備型の3種類で展開しており、標準・衛星通信仕様はヤマハ発動機が独自に開発したシステムで自律飛行を実施できる機体である。これらの仕様機体は衛星機器を積むことによって、それぞれ目視外飛行が可能になるため、航空法改正が施行されればほとんどの機体がレベル3・4飛行の目視外飛行に対応するとのことだ。
今後の方針について担当者は、「まだまだドローンや無人航空機を自由に飛ばせる時代ではないため、インフラ系や物流、監視、農薬散布など労力がかかっていたところをドローンで置き換えるところから始めて、どんどんドローン自体を浸透させて事業の芽を伸ばしていきたい」と語った。
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