“海”に関連する観測や調査、研究の計画から機器の導入、設置、維持管理までの総合的な提案を行うSeaBreathは、フランス・Notilo Plus社の産業用水中ドローン「Seasam」、フランス・SEABER社のマイクロAUV「YUCO」、フランス・ALSEAMAR-ALCEN社の水中グライダー「SEA EXPLORER X2」を展示した。

4つの動作モードで水中ドローンを操縦、音響を使った操縦も

ワイヤレスで操縦が可能なSeasam。最大深度は100mで約1時間運用できる。

 注目を集めたのはフランス・Notilo Plus社の産業用水中自律探査ドローン「Seasam」。この機体のユニークな点が操作モードで、ROV(有線)/FOLLOW(ワイヤレス)/SUPERVISED(ROV+FOLLOW)/WALL SERVOING(有線)の4つのモードで機体を操縦できることだ。

ダイバーが水中で音響リモコンを操作することで、Seasamをワイヤレスで操縦できる。

 水中では電波を発することが難しく、水中ドローンのワイヤレス制御はまだ少ないが、SeasamはFOLLOWモードを備えている。音響リモコンを水中で操作することで、ワイヤレスで機体を操縦できる。写真・動画撮影やライトのオン・オフといった操作だけでなく、機体がダイバーを起点として前後左右・上下に移動するなど、11種類の位置・動作を指示することができる。また、リモコンを持つ人(ダイバー)に機体を自律的に追従させることも可能だ。

 SUPERVISEDモードは、ROVとFOLLOWの機能を併せ持った監視モードで、陸上から水中の様子を監視しつつ指示を出すことができる。それに加え、ワンタッチで主導権を水中のダイバーに移すことも可能で、ダイバー自らリモコンで指示を出すこともできる。

 WALL SERVOINGモードは、船底検査やインフラ整備で活躍する機能だ。壁との距離をアプリで調整し、コントローラーのジョイスティックを横に倒すだけで一定距離を保ったまま横方向に移動し続ける。大規模・長時間の水中作業で、オペレーターの負担を軽減できるモードだ。

カメラは1/2.8インチCMOS SONY IMX290で、フルHD 1080p(30fps)に対応する。

 機体は、7つのスラスターを備えることで360度自由自在に移動する。最大速度は3ノット。センサー類は、深度、水温、テザーカウンター、GPS、9軸IMU、磁力式スイッチを搭載している。オプションのアクセサリーも豊富で、アーム、大容量バッテリー、高濁度用ライトなどのほか、専用のセンサーハブを取り付けることで、サードパーティセンサーを組み込めるのも魅力だ。

取り扱いが簡単な海洋調査向けの製品を紹介

マイクロAUVのYUCOシリーズ。本体仕様は、長さが75cmを基本として搭載センサーによりプラス23~31.5cm、重さが標準で9.5kg。最大深度は300m、速度は2~5ノット、最長航行時間は10時間。

 同社ブースには、海洋調査向けの2製品も展示された。1つは、フランス・SEABER社のマイクロAUVのYUCOシリーズ。専用アプリで航行セグメントやパターンをプログラミングすることができ、そのプログラムされた経路を自律航行して調査を行う。沖合のあらゆる条件下で操縦可能だ。

 現在のラインナップは、CTDを搭載したCTD、音響レコーダーを搭載したSound、DVLやサイドスキャンソナーを搭載したScanの4モデル(新たなラインアップも登場予定)。バッテリーやナビゲーションに必要な機器はユーザーが開けることのないドライセクションに収納されているので、水漏れのリスクも少なく、メンテナンスも最小限で済む。

フランス・ALSEAMAR-ALCEN社の水中グライダーSEA EXPLORER X2。最大深度1,000m。観測範囲・期間は、充電式リチウムバッテリーで1,300km・64日間、一次リチウム電池で3,200km・160日間(サンプリング戦略やミッション環境によって異なる)。

 もう1つは、フランス・ALSEAMAR-ALCEN社の水中グライダーSEA EXPLORER X2だ。空を舞うグライダーのようにエンジンやプロペラのような動力を必要とせず、内部の電池が前後左右に動くことで重心移動を行うことで、設定した潜航深度・プロファイル間隔等に基づいて水中を潜航・浮上し、目的地に向かって自律航行を行う。位置の補正やデータ送信などは水面に上がってきた際に衛星通信を行うことで可能とした。先端部分にセンサーを搭載し、搭載可能なセンサーはCTD、溶存酸素(光学式または隔膜式)、ADCPなど多数。専用アプリで、操縦からデータの表示・解析、ミッションの作成が簡単に行えるので、専門知識のない人でも操作できる。

 同社では今後も水中に関する最適な観測機器の選定やシステムの構築など、ユーザーのニーズに沿った最適なソリューションを提案していく。