ボーダック

 無人移動体画像伝送システム対応VTXの販売などで知られるボーダックは、産業用のマルチコプターや固定翼機などを参考出品。また、新しい無人移動体画像伝送システム対応通信機器などを展示していた。

 まず、ブースの壁面いっぱいに参考出品として展示されていたのは、VTOL型固定翼機の「長距離無線対応ドローン」。垂直離着陸用に4つのローターと、推進用として胴体尾部にローター1つを備えたVTOL機だ。翼長2500mm、機体重量5.5kgというサイズで、6.5kgのペイロードを備え、最高時速100kmで最大2.5時間飛行できる。

参考出品されていたVTOL型固定翼機。収納時には翼は3分割することが可能で、機体の組み立てにはビスなどを一切使わないのが特徴の一つとなっている。

 また、ボーダックが新たにリリースするのが、防水防塵性能を備えた産業用ドローン「WP06-BASE」だ。ドライカーボンを使った機体は、ローターピッチ1200mmというサイズに対して機体重量がわずか6kgと非常に軽量で、20kgという大きなペイロードを実現。さらにモーターや機体は洗浄機で丸洗いできる構造を採用し、水上や粉塵の舞う中など、過酷な環境で飛行できる。「大きな荷物を運んだり、火山などの自然観測、大規模プラントのガス漏れ検査に石鹸水を撒くといった、耐環境性能と大きなペイロードが求められている」(説明員)という。この機体は、こうしたニーズに応えるものとなっている。

F1のモノコックなどに使われるドライカーボンで機体を構成する「WP06-BASE」。一般的なウェットカーボンに比べて非常に高価ではあるが、高い強度と軽さを備えている。

 ボーダックでは以前から無人移動体画像伝送システムに対応した通信システムをリリースしているが、今回は中距離用の5.7GHz帯デジタルVTXを参考出品。これまで10mWのものと1Wのアナログ伝送装置を販売していたが、新たに開発した5.7GHzデジタル映像伝送装置を展示していた。

参考出品として展示していた中距離用の5.7GHz帯デジタル送信機。定格出力が400mWで、無人移動体画像伝送システムに対応しており、非常に小型でマイクロドローンなどへの搭載が可能。
以前から販売されている定格出力800mWの5.7GHz帯デジタル無人移動体画像伝送システム。この受信機は参考出品の400mWのものにも使える。
ArduPilot Mavlinkに対応した920MHz帯長距離テレメトリーシステム。移動局側はUSBバスパワー駆動となっており、地対空での通信距離は8kmにも及ぶ性能を備えている。
参考出品されていたUGV。夏場は熱さと湿度で作業者に大きな負担となっている、床下の点検などでの利用を想定して開発しているという。

エイテック

 土木コンサルタントのエイテックは、さまざまなドローンを使った橋梁点検ソリューションを展示していた。ブースでいちばん目を引いていたのは、球体ガードと360度カメラを搭載したドローンで、DJIのPhantom4 ProにPAUI製のドローンガードとInsta360 One Xを搭載。対象物に対して約1mの距離を保ちながら撮影を行い、0.2mmのひび割れを動画から判読できるとしている。360度カメラが撮影した画像と、地上から機体を把握するために撮影した画像を同期させて見ることができる、オリジナルのビューワーソフトも開発しており、「橋梁検査方法及び橋梁検査システムの手法」として特許を取得している。このほかにもドローンにフロートを組み合わせた狭小橋梁点検ドローンや、360度カメラでドローンを挟み込んだソリューション提案などを行っていた。

球体ガードと360度カメラを搭載したドローン点検ソリューション。
空港の進入灯施設を撮影した画像。専用ビューワーにより左の360度カメラの映像が対象物のどこにあたるかが、右の映像のドローンの位置でわかる。
DJIのMavic Proを上下から挟み込むようにInsta360 ONE Rを搭載することにより、360度映像にドローンが写り込まない「360度カメラ搭載ステルスドローンの効果的撮影」ソリューション。
DJIのPhantom4 Proにフロートを取り付け、水面を滑走するように飛行させることで、小規模な水路にかかる狭小橋梁を点検するソリューション。

テクノドローン

 主にコンビナートの煙突をはじめとする設備の点検をドローンで行っているテクノドローンは、自社開発のドローンを中心に同社で利用している機材の展示とサービスを紹介していた。同社はもともと煙突や焼却炉の内部を修繕する事業が祖業で、ドローンでの事業は特に煙突の点検を中心にサービスを展開している。煙突のドローン点検は、気流の影響でドローンのスピードが変化したり、回転したりするため、ドローンの飛行を自動化するのは難しく、オペレーターの技術によるところが大きいという。

自社開発の煙突点検用ドローン。「ブレーキシステム」と呼ばれる安全装置を搭載するほか、スキッド4本に周囲を照らす高輝度LEDを装備するなど、煙突点検に特化した仕様となっている。