現在、日本国内では、大阪・関西万博に向けて空飛ぶクルマの実用化に向けた機運が高まっている。「空の移動革命に向けたロードマップ改訂版(2022年3月18日)」では、大阪・関西万博が重要な目標の一つとして設定された。2022年3月23日は、「空の移動革命社会実装大阪ラウンドテーブル」の全体会議が開催され、「大阪版ロードマップ」の取りまとめが行われた。

大阪版ロードマップ(2022年3月23日)

大阪ラウンドテーブル

 2020年11月27日、大阪府が「空の移動革命社会実装大阪ラウンドテーブル」を設立した。ラウンドテーブルには、空飛ぶクルマの社会実装に向けた活動を行っている事業会社や研究機関などが参加を表明した。
 事務局は大阪府商工労働部が担当し、全体会議とワーキンググループ会議を行ってきた。ワーキンググループは、「機体・運航サービスWG」「離着陸場WG」「管制・通信WG」「社会受容性WG」で構成されている。
 2022年3月23日に開催された全体会議では、吉村知事が登壇し、空飛ぶクルマの実装に向けた強い決意をコメントした。

大阪ラウンドテーブル全体会議(2022年3月23日)

大阪ラウンドテーブルのコンセプト

 大阪版ロードマップは、3段階での展開ステップを示している。2025年頃は「立ち上げ期」として設定されている。パイロットが搭乗し、万博会場を中心に、娯楽・観光を目的とした定期路線運航を行う。
 2030年頃は「拡大期」のフェーズになる。自動・自律飛行(パイロットレス)によるオンデマンド輸送への段階的な移行が行われる。都市部を中心に商用飛行が拡大する。
 2035年頃は「成熟期」となる。自律飛行によるオンデマンド輸送が中心となり、広範囲でネットワーク化された商用飛行が実現する。

大阪版ロードマップのコンセプト(2022年3月23日)

今後に向けた展望

 今回、大阪府が、三重県に続いて、地域版ロードマップの策定を行ったことは重要な意味がある。大阪市・大阪府がスーパーシティ構想の対象地域に選ばれたこともポイントになる。空飛ぶクルマの実用化を行うためには、継続的な取り組みが必要である。空飛ぶクルマの価値を示し、ステークホルダーとの継続的なコミュニケーションを行うことが、社会受容性を高めるためには不可欠である。