大規模自然災害は建設業界に“特需”をもたらすが、その後の反動により経営危機に直面する企業も少なくない。その中にあって、いち早くドローン技術を取り入れ、危機を成長へと変えた企業がダイワ技術サービスだ。なぜ同社は急成長できたのか。そして、その成長を支える「現場目線」のドローン製品とは。

震災復興後の経営環境の変化を乗り越えるために

 宮城県仙台市に本社を構えるダイワ技術サービスは、創業40年の老舗の建設コンサルティング会社である。1985年にダイワ測量設計として創業。2011年に仙台技術サービスと合併し、今では測量設計と地質・土質調査の2つを柱に事業を展開する。公共領域の仕事を主に扱い、年商は約12.9億円と、その存在感は東北地域の同業の中でもトップクラスである。

 ところが、同社の売り上げは合併当時まで遡れば約2億円にすぎなかった。それからわずか約15年で、同社は実に6倍もの規模へ拡大を遂げたことになる。「その原動力こそ、震災後の事業継続への強烈な危機感と、その克服のために決断したICTへの積極投資にほかならない」と力を込めるのは、ダイワ技術サービスで常務取締役 経営企画本部長を務める佐々木茂氏だ。

 佐々木氏が語る危機――。それが、地理的要因で日本が直面せざるを得ない大規模自然災害に起因する経営環境の大きな変化だ。阪神・淡路大震災や東日本大震災はいまだ記憶に新しく、復興に向けたインフラの再整備に巨額の資金が投じられたことは周知の通り。特需で建設業界は一時的に潤うが、問題はその後に訪れる。

 数年もすれば復興事業は終了する。インフラが一新されれば、新規工事と共に、従来からの補修などの案件も極端に減る。自治体の予算も厳しく、工事予算も大きく下がる。

 「弊社の東日本大震災復興事業に協力頂いた企業の中には、1995年の阪神・淡路大震災の復興事業後の公共事業変化を経験した企業が数多く存在した。そこで得た各社とのつながりから、大規模自然災害復興後には、公共事業が減少し、復興の経験を基に新規事業を興して大きく成長する企業と、復興後は仕事が減るのを『仕方がない』と諦め、事業量が縮小する企業と二極化が発生すると知らされた。我々にとっても無関係な話ではない。以来、復興後を見据えた経営として対応策の模索を続けていた」(佐々木氏)

株式会社ダイワ技術サービス 常務取締役 経営企画本部長 佐々木茂氏
株式会社ダイワ技術サービス 常務取締役 経営企画本部長 佐々木茂氏

ドローンで「i-Construction」の波に乗る

 宮城県沖を震源とする東日本大震災が発生したのは、奇しくも合併を実施した同年の2011年である。

 「震災復興後には、危惧していた不況が近いうちに東北で訪れることが容易に予想された。この危機を克服すべく、2013年に打ち出した生き残りの策が、東北地方のICT分野のパイオニアとなるべく、他社との差別化、具体的には三次元測量への注力だ。その道具として目を付けたのが、レーザーによる広範囲の効率的かつ迅速な測量を可能にするドローンやモービルマッピングシステム(MMS)だった」(佐々木氏)

 結果から先に言えば、ダイワ技術サービスは現在、ドローンやMMSなどの最新技術を取り入れた測量と、自社保有する土質試験室を生かしたボーリングから土質試験まで一貫対応する地質・土質調査での高い調査品質で、東北トップクラスの評価を確立している。それも、この時の決断があってのことだ。

 しかし、当時のドローンは「使い物になるかどうかは未知数」(佐々木氏)だった。それでも同社は、収集を続けていた情報と、企業戦略を基にドローンの試験導入を決意する。以降、「今では法制面で考えられないが、展示会の会場内でのデモ飛行や、自社屋上から仙台市内を360度カメラで撮影するなど、自社業務活用だけで無く、ドローン活用の先駆者としての情報発信活動を続け、技術と経験を蓄えていった」(佐々木氏)のだという。

 そこで訪れた転機が、2016年からの国土交通省による「i-Construction」の推進だ。国土交通省はi-Constructionにおいて、ドローンをICT土工の主要ツールの1つに位置づけ、「空中写真測量(無人航空機)を用いた出来形管理要領(案)」を公表するなど、公共工事での利用を制度化した。ドローン測量はいわば、公共工事における標準技術となったのだ

 ダイワ技術サービス 技術第一部 部長の片寄努氏は、「国の三次元測量の後押しで、風向きが当社にとって良い方に一変した」と振り返る。その追い風の強さは、2016年当時約8億円だった売り上げが、そこから10~13億円に急拡大していった事実からも容易にうかがえるだろう。

株式会社ダイワ技術サービス 技術第一部 部長 片寄努氏
株式会社ダイワ技術サービス 技術第一部 部長 片寄努氏

水辺の測量における「ラストワンマイル」を埋める

 当時、ドローン測量を軌道に乗せるべく、地道な努力も重ねた。ICT活用が進む西日本の知人へ全国の事例や、今後の測量業界が向かう方向性などを相談し、導入後は東北地方の案件で協力を得つつ実務経験を積む。現在では実績と信頼を積み上げ、西日本エリアへ営業所を新設するなどして受注基盤を固めていった。

 そして現在。ダイワ技術サービスでは、「陸・海・空」のすべての領域において、各種の計測機器とドローンを適切に組み合わせた三次元測量サービス「i-Con計測サービス」を全国展開している。

 「かつては作業員が山に入り測量を行っていた。危険な上に肉体的にも過酷な仕事だ。だがドローン測量なら、人が危険な場所に立ち入る必要はない。安全性と効率が飛躍的に向上し、コスト削減にも直結する。今やドローンなどの三次元計測のない測量は考えにくいが、新規導入を検討する場合、費用や職員教育、さらには持続的な受注などの課題がある。そのため、三次元計測をしたくても、実施出来ない測量・施工会社に対するサービスとして、自社の導入経験を生かした計測サービスや助言を全国の測量会社や施工会社に実施している」(佐々木氏)

 その中でも現在、河川や海岸など、水辺周辺の測量で同社にとって不可欠な存在となっているのが、アミューズワンセルフのグリーンレーザースキャナ「TDOT GREEN」シリーズである。同社がTDOT GREENに着目した最大の理由は、当時取り組んでいた「ナローマルチビームによる水中の三次元測量」で直面した課題にあった。

 ナローマルチビーム測量は多数の音響ビームを水中に発し、反射時間から水深データを面的に把握するが、水深が浅い場所では反射特性が不安定になり、正確なデータ取得が困難だ。逆に、一般的な赤外線レーザードローンは水に吸収されてしまうため、水中の測量は不可能だ。つまり、「極端に水深が浅い場所」や「水際」のデータ取得が空白地帯となっていたのだ。

 「山間部や河川では、こうした状況は珍しくない。その場合、人が水に入ったりラジコンボートを使ったりしてデータを補完していたが、1mグリッドでの広範囲の点群データ取得には途方もない時間と労力が必要になる。見積もりに見合わないコストが生じることもあり、頭を痛めていた」(佐々木氏)

当時行っていたボートや徒歩による測量の様子
当時行っていたボートや徒歩による測量の様子

「経験したことのない扱いやすさ」が導入の決め手に

 その“最適解”としてダイワ技術サービスが白羽の矢を立てたのが、2020年に発売された初代「TDOT GREEN」である。最大の特徴は、水に吸収されにくく、水底や濡れた地表面までも正確に測量できる「グリーンレーザー」を採用している点だ。

 「国土交通省の『革新的河川技術プロジェクト』でグリーンレーザースキャナの存在を知り、開発元のアミューズワンセルフに早速、会いに行った。その後、TDOT GREENの正式リリース後、即座に導入した」(佐々木氏)

 TDOT GREENの導入を機に、「懸案だった水辺の測量問題が一気に解消された」と佐々木氏は喜びを隠さない。

 ダイワ技術サービスでは、TDOT GREENの正式リリース前にアミューズワンセルフの赤外線レーザー測量ドローンも導入している。「技術の進歩の中で、UAVレーザー計測導入を」(片寄氏)と考えていたタイミングだったが、決め手となったのは、ドローン測量の改革ともいえるレーザー計測システムと付属ソフトの扱いやすさだ。

UAVレーザーの計測風景
UAVレーザーの計測風景

 片寄氏によれば、それまで経験していた海外製などのUAVレーザードローンは、「ハード的にIMU(慣性計測装置)とレーザー測量機を単に取り付けただけ」というレベルのものが多かったという。また、取得したデータから精度の高い点群データの生成までには、複数の海外製ソフトによる変換作業や、コース間誤差を補正するための属人的な知見が必要となり、飛行後の作業にも少なからぬ手間を要していたのだという。

 対して、アミューズワンセルフの専用ソフトは、高度な点群生成までの機能が網羅されている上、操作体系も極めて直感的だったという。組み合わせるハードの品質も格段に高かった。

 「デモを見せてもらい、データ取得から点群データの確認までが約10分で完了した。それまで経験したことのない扱いやすさだった」(佐々木氏)

ナローマルチビーム音響測深とグリーンレーザーを組み合わせて取得したデータ
ナローマルチビーム音響測深とグリーンレーザーを組み合わせて取得したデータ

海外製品では望めない「手厚いサポート」も魅力

 アミューズワンセルフが「国内メーカー」であることも重要なポイントだ。そこには、ダイワ技術サービスが運用した海外製MMSやナローマルチビームでの苦い経験で得た教訓がある。時差の関係でサポートが夕方以降になり、対応完了が深夜に及ぶこともしばしば。言葉の壁によるコミュニケーションロスにも苦労した。

 何より深刻だったのが、修理・点検時のタイムロスだ。本国への発送が必要となれば、数カ月戻ってこないこともある。機器がなければ現場が止まる。経営として、このリスクは看過できない。

 「その点、国内メーカーならリスクは最小限だ。アミューズワンセルフの事前の対応からも、安心して導入できると確信できた」(片寄氏)

 導入後、期待通りの成果を得られたダイワ技術サービスは、同社製品の継続利用を決断。2026年1月には、最新モデルである「TDOT 7 GREEN LITE」を新たに導入した。

 TDOT 7 GREEN LITEは、前モデル「TDOT 3 GREEN」の基本性能(レーザーパワーと受光感度)を2倍に高めた上位機「TDOT 7 GREEN」をベースに、機能を厳選して2.9kgまでの軽量化を実現したモデルだ。大型ドローン以外での運用も可能になり、活用の幅が広がる。

 さらにネットワーク面では、新たに用意された無線LANハブ「リモートゲートウェイ」により、専用アプリでの操作や、計測中の地形データのリアルタイム表示・出来高確認などが可能となった。

2026年1月、最新モデルの「TDOT 7 GREEN LITE」を導入。運用を担う二等資格者は6名在籍しており、夜間・目視外飛行にも対応可能な盤石の体制を敷いている
2026年1月、最新モデルの「TDOT 7 GREEN LITE」を導入。運用を担う二等資格者は6名在籍しており、夜間・目視外飛行にも対応可能な盤石の体制を敷いている

 片寄氏は「新製品はカメラを内蔵しているため、測量と撮影を同時に行える。レーザー出力の向上で測量速度も倍になり、さらなる効率化が見込める。ゲートウェイによるリアルタイム表示は、現場で施主への説明を行う際にも大いに役立つだろう」と、今後の活用に期待を寄せる。

 ダイワ技術サービスでは現在、アミューズワンセルフとの連携を強化しており、各種展示会での共同出展なども行っている。「現場作業を楽にする」をモットーに製品開発に取り組むアミューズワンセルフは、これからも同社の成長を支える頼れるパートナーであり続けるはずだ。

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株式会社アミューズワンセルフ
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