東京都が空飛ぶクルマの無料体験イベントを開催

 東京都は、空飛ぶクルマ(eVTOL)の実機搭乗などを体験できる入場無料のイベント「空飛ぶクルマってナニ? 見よう、聴こう、乗ろう」を、2025年3月17日~24日に東京都千代田区の「東京国際フォーラム」で開催した。会場では、NTTコミュニケーションズが代表事業者として出展を行った。

空飛ぶクルマをより身近に!実機展示や搭乗体験も

写真:イベント会場
東京国際フォーラムのガラス棟地下に設置されたイベント会場。バルーンが目印。

 本イベントは、一般の人々に空飛ぶクルマを実際に体験してもらい、その存在を身近に感じてもらうことを目的に企画された。会場の東京国際フォーラムのガラス棟地下1階には、約300m²のブースが設置され、2020年に有人飛行に成功したスカイドライブの1人乗りの空飛ぶクルマ「SD-03」の実機が展示された。来場者は実際にコックピットに搭乗できる貴重な機会を得た。

写真:スカイドライブ「SD-03」
展示されたスカイドライブの「SD-03」。
写真:「SD-03」に乗る来場者
「SD-03」は誰でも無料で搭乗体験できる。

VR体験や操縦シミュレーションも充実

写真:VRゴーグルを装着して飛行体験をする様子
VRゴーグルで空飛ぶクルマの飛行体験ができるコーナー。

 会場では、実際に東京上空を飛行した際の景色をVRゴーグルで体験できるコーナーや、操縦シミュレーションを楽しめるエリアも設けられた。また、現在運航中のヘリコプターやジェット機と空飛ぶクルマの騒音を比較できるコーナーもあり、空飛ぶクルマの静音性を体感することができた。そのほか、空飛ぶクルマが実際に運航する際に必要な条件やインフラ、社会実装に向けたロードマップを紹介するパネル展示も実施された。

写真:会場に展示された解説パネル(東京都における社会実装に向けたロードマップ、空飛ぶクルマの運航で必要なもの)
東京都の空飛ぶクルマ実現に向けたロードマップなどが展示されたパネルコーナー。

 イベントでは、NTTコミュニケーションズが開発した、空飛ぶクルマの航路設定に不可欠な電波状況を視覚的に理解できるソフトウェアも展示。この技術は、安全な運航を実現するための重要な要素となる。

東京都の「東京ベイeSGプロジェクト」と空飛ぶクルマの未来

 東京都は、自然と利便性が融合した持続可能な都市の実現を目指し、湾岸エリアを中心に「東京ベイeSGプロジェクト」を推進。現在、モビリティ、エネルギー、環境循環などの分野で多くの企業と共同プロジェクトを進めている。

 中でも空飛ぶクルマに関しては、同プロジェクトの先行施策として、2024年6月に「空の移動革命実現に向けた東京都官民協議会」を発足。2025年1月には、この協議会の議論を基に「東京都空飛ぶクルマ実装プロジェクト(案)」がまとめられた。2025年度から2028年度までを「プレ社会実装」の期間と位置づけ、2029年度には「一部市街地での実装」、2030年度以降には「市街地への本格展開」というロードマップを描いている。

東京都の担当者「社会受容性の向上を目指す」

 東京都の担当者は、「イベントを通じて、空飛ぶクルマが実際に飛ぶ東京の未来を多くの人に感じてもらい、社会受容性の向上を図っていきます」とコメントした。空飛ぶクルマの実用化が現実味を帯びる中、本イベントは都市の未来を体感できる貴重な機会となった。