絶景を手軽に撮影!日本初のドローン空撮サービス「SKYPIX」登場

 旅行大手のJTB、ドローンサービスのfly、日本航空(JAL)の3社は共同で、日本初となるAIを活用したドローン無人空撮サービス「SKYPIX」の実証運用を、3月から5月にかけて香川県小豆島の寒霞渓(かんかけい)で実施する。2月26日には、東京都中央区の歌舞伎座で、実際に使用されるドローンを用いた発表会を開催した。実証運用後の8月から、正式にサービスの運用を開始する予定だ。

AIがあなたの映像を編集!「SKYPIX」の画期的な仕組みとは?

01申込/決済、02ドローンによる空撮、03動画の受け取り
SKYPIXのサービス概念図(JTB発表資料より)
写真:Dock 2と、Dock 2に搭載されたMatrice 3D(ドローン)
サービスに使われるDJIの「Matrice 3D」と「Dock 2」。SKYPIXのロゴマークが記されている。

 寒霞渓は、小豆島の山に位置し、展望台から美しい瀬戸内海の風景が楽しめることで知られる。SKYPIXでは、寒霞渓山頂の第二展望台(海抜約612m)近くに、「DJI Matrice 3D」と自動発着が可能な「DJI Dock 2」を設置。利用者は展望台に設置されたQRコードをスマートフォンで読み取ることで、申し込みと決済を行う。所定の場所に立つと、ドローンが自動で飛び立ち、利用者の周囲を約2分間撮影。撮影データはサーバーに送信され、AIが事前に撮影した寒霞渓の風景と組み合わせて約1分間の映像に編集。完成した映像のURLが利用者のスマートフォンに送信され、ダウンロードできる仕組みだ。海外からの観光客にも対応するため、英語や中国語を含む複数言語に対応している。

写真:飛行するドローン、ドロンに向かって手を振る4人の後ろ姿
小豆島寒霞渓でのSKYPIXのドローン飛行(JTBプロモーション映像より)
写真:飛行するドローンと撮影される2人
小豆島寒霞渓でのSKYPIXのドローン飛行(JTBプロモーション映像より)

たった2分で空撮体験!QRコードで簡単申し込み&即ダウンロード

 実証運用は、3月1日から5月6日までの毎週金・土・日曜日、午前9時から午後5時まで実施。料金は1回あたり2,000円(税込)となる。実証運用後、料金やシステムの調整を行い、正式運用時には2,500~3,000円程度となる見込みだ。

アイドルも体験!「CANDY TUNE」のパフォーマンスをAI自動編集

写真:パフォーマンスを行う「CANDY TUNE」、飛行しながら撮影するドローン
歌舞伎座屋上庭園で歌って踊る「CANDY TUNE」を撮影するドローン

 発表会には、7人組アイドルグループ「CANDY TUNE」(キャンディーチューン)が登場。歌舞伎座の屋上庭園でパフォーマンスを披露し、その周囲を飛行するドローンが実際に撮影を行った。さらに、事前に用意された別カメラの映像を組み合わせ、AIによる自動編集を施したプロモーション映像も公開された。

写真:ディスプレイに流れる映像を見る7人
AIで自動編集された映像を見る「CANDY TUNE」のメンバー。短時間で編集された映像に「凄い」という感想を話していた。

 SKYPIXはJTBが企画し、システム開発などをflyが担当。JALは自社のウェブサイトなどを活用し、プロモーションを展開する。JTBは、小豆島の自治体である土庄町や小豆島町と連携し、「20年先の小豆島をつくるプロジェクト」を2023年8月に始動。観光客向けの自動運転バスの導入などを進めており、SKYPIXもその一環として位置付けられている。

全国&海外展開も視野に!「SKYPIX」が目指す観光の未来

写真:横に並ぶ3人。両端の2人はSKYPIXのパネル、中央の人物はドローンを手に持つ
SKYPIXのサービスを発表した(右から)JTBエリアソリューション事業部の森口浩紀部長、flyの船津宏樹社長、JAL西日本支店の宮坂久美子支店長

 システム開発と運用管理を担当するflyの船津宏樹社長は、寒霞渓はDID(人口集中地区)ではないものの、国立公園内であるため環境省の許可を取得したと説明。「風速制限や撮影距離の設定など、十分な安全対策を講じた上で運用していく」と述べた。そのうえで、「自撮り文化が浸透する中で、ドローンを活用した “空飛ぶプリクラ” のような感覚で楽しんでほしい」と語った。

 また、JTBの森口浩紀常務(エリアソリューション事業部部長)は、「コロナ禍以降、小豆島でも観光客の集客が伸び悩んでいる。SNSを通じて小豆島の魅力を広め、多くの人に訪れてもらうため、新たな観光サービスとしてSKYPIXを開発した」と紹介した。

 JTBは、SKYPIXのサービスを小豆島にとどまらず、全国の観光地へ展開する計画を進めている。2026年には10カ所、2027年には各都道府県1カ所の計47カ所への拡大を目指し、さらに海外展開も視野に入れている。