(2)様々な形・大きさの機体

 ArduPilotによる固定翼機、VTOL、コプター、ボート、ローバーもお披露目された。市販機をArduPilotでカスタマイズして制御の自由度を上げる、ホームセンターなどで入手できるパーツを組み合わせて安価に製作するという工夫が印象的だった。

1期卒業生でTAP-Jメンバーの小宮光裕氏による、パロット社の固定翼機DiscoのArduPilot化

 パロット社のDiscoをArduPilotのファームで運用する取り組みだ。これにより、多数のパラメーター変更や、ArduPlaneに用意されている様々な機能の実行が可能になる。今後はブレーキや方向管理の精度を上げて、オリジナル機体の設計を目指すという。

2期卒業生でTAP-Jメンバーの松本威氏による、市販の機体を改造したVTOL機

 TAP-J(Team ArduPilot Japan)では、山の遭難救助ロボットコンテストで固定翼機の活用にも取り組んできた。固定翼機は、飛行速度が速く航行距離も長いので、山での救助に適しているが、離発着場所に困ることが多く、VTOL機の開発を手がけたという。

 約2万円で購入できる手投げ飛行機を改良し、“価格破壊” を実現した。持ち運びには不可欠な折りたたみ式だ。上昇下降は市販の空撮ドローンでは追いつけないほど速く、3m四方に着陸が可能だという。今後の課題は、自動航行の精度向上と、カメラ(スマホを活用する案が有力とのこと)の装備だ。

7期卒業生の野口克也氏による、物資輸送用・緊急物資搬送用ドローン

 農薬散布用の大型ドローンを改修してArduPilot化する取り組みも紹介された。貨物を長吊りして運び、下ろすときには自動で開閉できる仕組みも構築中だ。内部コネクタを差し替えることで、DJI FCにもスイッチできるという。今後は、さらなる大型化や、対地距離制動の改善を経て、無人島や離島における自動ミッション遂行を目指し、事業化を図る。

5期卒業生で講師も務める扇拓矢氏による、海洋ゴミ回収船(9期開講に行われたイベント時に撮影)

 前方が開いた網で、水面のゴミを回収するArduBoat。動力は左右につけたスクリューで、左右の推力差で方向操作を行う。Arduplaneとの連携プレーによる海洋ゴミ回収も視野に入れているそうで、これは後述する。

5期卒業生で講師も務める高山誠一氏による、無人自動散水車両

 無人自動散水車両は、「工事現場で水を撒く作業の負荷軽減に役立つ」として着想された。機体のベースは、タミヤRCカー 1/24RC ヘビーダンプ(GF-01シャーシ)。「機体制御の基本構成はマルチコプターと同じで、アンプの先にプロペラがあるのか、タイヤがあるのかの違いだけだ」と高山氏は説明した。様々なコンディションの地面での滑らかな走行は、今後の課題だという。

9期在校生の山田義久氏による、室内でも活躍するローバー

 スキッドステアリング方式とオムニホイールを用いたローバー。その場で旋回し、自由自在に多方向に動くことができるため、室内や狭い場所で活躍しそうだ。カメラを搭載し、映像のストリーミングやOpen CVを活用した自動追尾などの構想も描かれている。