国土交通省は6月29日、「無人航空機の有人地帯における目視外飛行(レベル4)の実現に向けた検討小委員会」(以下検討小委員会)の第1回会合を開催した。同検討小委員会は「空の産業革命に向けたロードマップ2019」が掲げる、2022年度を目標としたレベル4の飛行を実現するために、「小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会」(以下官民協議会)にて決定された、“制度設計の基本方針” に基づいてさらに具体的な議論を行うものだ。
官民協議会では2020年3月に、レベル4の飛行の実現に向けた制度設計の基本方針を決定。この中で「機体の安全性確保」「操縦者の技能確保」「運航管理のルール」についてドローンの飛行リスクに応じて、3つに区分したカテゴリーに当てはめて示している。また、所有者等の情報を把握する仕組みについては、6月24日に公布された改正航空法の中で無人航空機の登録制度を先行する形で制定。機体情報等をオンラインで国交省に登録し、通知された登録記号を機体に表示しなければ飛行してはならないといったルールが設けられた。それ以外の「機体認証」「操縦ライセンス」「運航ルール」については、今後、具体的な制度を検討していくとしていた。
今年度から設置された検討小委員会は、これまで開かれてきた官民協議会のワーキンググループとは異なり、交通政策審議会 航空分科会 技術・安全部会の下に設置され、大学教授らによる6人の有識者で構成される。また、JUIDAやJDC、JUAVといったドローン、ラジコン業界の団体関係者7人がオブザーバーとして参加している。
検討小委員会では制度設計の基本方針をもとに、「制度全般」「機体認証」「操縦ライセンス」「運航ルール」という4つのテーマについて具体的な課題を検討していく。第1回となる今回の会議では、これまでの制度検討の経緯と基本方針に基づく論点が議題となった。
▼ 第1回 無人航空機の有人地帯における目視外飛行(レベル4)の実現に向けた検討小委員会配付資料「基本方針に係る具体の検討事項についての論点(案)」
制度全般では、現在、許可・承認の対象となっている比較的リスクの高い飛行 (カテゴリーⅡ)や、 レベル4、イベント上空といったリスクの最も高い飛行 (カテゴリーⅢ)を整理するにあたって、どのような観点からリスクの程度を精査し検討・整理すべきか、といった見地で議論を進めるとしており、機体認証や操縦ライセンスの義務化する対象範囲を検討する場合は、現行の規制と比べ過度なものにならないように考慮する必要があるというような点も踏まえ、ドローンの利活用の推進にも配慮しながら今後の議論が進む見込みだ。
今後、検討小委員会は7月以降、1カ月に1回のペースで開催が予定されている。第2回委員会では関係団体からのヒアリング結果等について議論を行い、第3回には中間報告素案の提示とそれについての議論、第4回では最終とりまとめの方向性の議論を行い、第5回委員会で最終報告案を検討。11月頃の第6回会議において最終とりまとめが行われ、2021年1月頃には交通政策審議会 航空分科会 技術・安全部会に報告されることとなっている。この検討小委員会のスケジュールによれば、来春には新しい制度のあらましが見えてくる模様だ。
今後の検討小委員会の開催予定と議題案 |
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第1回(2020年6月29日) 1. 無人航空機に係る経緯 2. 基本方針で提示された論点等について ※ 第1回開催後、第2回の開催までの間に関係団体からのヒアリング(機体の安全性、操縦者の技能確保、運航ルール等について)を実施 |
第2回(2020年7月頃) 1. 関係団体からのヒアリング結果(機体の安全性、操縦者の技能確保、運航ルール等について) 2. ヒアリング等を踏まえた中間報告の方向性に係る議論 |
第3回(2020年8月頃) 1. 中間報告素案の提示 2. 中間報告素案に係る議論 3. 中間とりまとめと議論 |
第4回(2020年9月頃) 1. 最終とりまとめの方向性の議論 ・機体の安全性 ・操縦者等の技能確保 ・運航ルール |
第5回(2020年10月頃) 1. 最終報告素案の提示 2. 最終報告素案に係る議論 |
第6回(2020年11月頃) 1. 最終とりまとめ |
2021年1月頃(参考) 交通政策審議会航空分科会技術・安全部会への最終とりまとめの報告 |