2024年12月2日、帯広畜産大学は、岐阜大学、山梨富士山科学研究所、農研機構畜産研究部門との共同研究として、ドローンの空撮画像から放牧地の牛糞を検出する方法を開発したことを発表した。
放牧牛による草地への排糞は、土壌への栄養供給源であると同時に温室効果ガス(GHG)の排出源でもある。畜産物需要の増加に対応しながら環境負荷を低減するためには、牛糞の分布を制御し、局所的な管理を実現することで精密な草地管理を行う必要がある。一方、草地での牛糞分布は放牧牛の行動や滞在場所と密接に関連しており、水飲み場の位置や地形の影響を受ける。また、草量や草質の分布、気候などの変動要因によっても季節ごとに変化する。
そこで、変化する牛糞の分布を効率的に把握するため、ドローンと深層学習技術を活用し、従来困難とされていた圃場内の牛糞の空間分布情報を取得する技術を開発した。国内4地域(北海道、山梨、長野、岐阜)の放牧地で収集したドローン画像を用い、YOLOオブジェクト検出によって牛糞の検出を可能とした。山間部の傾斜地や草高のある放牧地では未検出の牛糞が増える傾向があることから、今後の改善が必要となる。
放牧地の牛糞の分布をドローンから把握することで、生産性向上と環境負荷低減の両立に向けた草地管理への貢献が期待される。
この論文は、2024年9月に日本草地学会の英文誌「Grassland Science」に掲載された。
【発表雑誌】
Grassland Science, 70(4), 168-174. DOI: 10.1111/grs.12429
【論文名】
Cattle dung detection in pastures from drone images using YOLOv5
【著者】
Kensuke Kawamura(川村健介):帯広畜産大学 環境農学研究部門 准教授
Yura Kato(加藤結良):帯広畜産大学 畜産学部4年(当時)
Taisuke Yasuda(安田泰輔):山梨県富士山科学研究所 研究員
Eriko Aozasa(青笹恵理子):岐阜大学 応用生物科学部4年(当時)
Masato Yayota(八代田真人):岐阜大学 応用生物科学部 教授
Miya Kitagawa(北川美弥):農研機構 畜産研究部門 上級研究員
Kyoko Kunishige(國重享子):道総研 畜産試験場 研究主幹