2023年3月28日、新潟県阿賀町、セイノーホールディングス(以下、セイノーHD)、エアロネクスト、NEXT DELIVERY、KDDIスマートドローンは、2023年3月20日から3月24日の間、新潟県阿賀町においてドローン配送の実証実験を実施したことを発表した。

 セイノーHDとエアロネクストが開発推進するドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流SkyHubの社会実装の検討に向けて実施するもので、実施はNEXT DELIVERYとKDDIスマートドローンが連携して行った。

 実証実験では、自然災害による生活道路の分断を想定した緊急物資の輸送ルートの開拓および、買い物困難者⽀援の物資輸送として地元商店から調達した日用品のドローン配送を実施。2022年の実証実験から新たに線路の上を通る最短ルート、町の中心地からの長距離航行ルートといった、実装に向けてより地域課題に着目したルート開拓を行った。

アプリを使った買物代行の仕組みを住民に説明する様子。

 阿賀町は中山間地域および特別豪雪地帯に該当し、人口減少や少子高齢化の進行が著しい地域である。町中心部から遠い山間部に散在する集落が多いことから、高齢者の日用品などの買い物アクセスについて、効率的な手段を提供することが課題となっている。

 また、同実証実験の対象地域3カ所は町の中心部から離れており、過去には豪雪での倒木により電線が断線したり、土砂崩れにより車両が通行できず孤立するなど、自然災害が起こりやすい地域に高齢者が住む集落が点在しているという。

 今回は、中山間地域および特別豪雪地帯におけるドローン物流の社会実装を見据え、災害発生時に最短距離で緊急物資が届けられるルートを開拓した。また、平時には地域住民が配送に利用できるよう検討するとしている。

実施内容

 阿賀町の3地域(鹿瀬地域、上川地域、津川地域)において、支所や会館等にドローンデポ(※1)を、各集落3カ所の中心地にドローンスタンド(※2)を設置。災害時にも物資を輸送できるドローン配送を想定し、地元住民がアプリを使って注文した日用品や食料品を配送した。

 使用機体はエアロネクストとACSLが共同開発した物流専用ドローン「AirTruck」。機体の制御にはKDDIスマートドローンが開発した、モバイル通信を用いてドローンの遠隔制御・自律飛行を可能とするスマートドローンツールズの運航管理システムを活用した。

※1 ドローンデポ:既存物流とドローン物流の接続点に設置し、荷物を集積して配送する拠点。ドローン配送のための倉庫でもあり、荷物をドローン配送する仕組みを備える。

※2 ドローンスタンド:ドローン物流の起点・終点に設置する離着陸のための設備・スペース。

物流専用ドローン「AirTruck」
ドローン配送した商品

 2023年度を目標に、新スマート物流の構築に向け、各社荷物などを集約化するドローンデポと、ドローンの着陸地点となる複数のドローンスタンドを設置し、地上配送と将来のドローン配送を想定した買物代行サービスの開始を目指すとしている。