新潟県阿賀町、エアロネクスト、セイノーホールディングス（以下、セイノーHD）、KDDI、ACSLおよびNEXT DELIVERYは、2022年3月14日から2022年3月18日の間、同町において、地域物流を効率化する新スマート物流「SkyHub」の構築に向けたドローン配送実証実験を実施することを、2022年3月16日に発表した。
同実証では診療所と薬局が連携し、診療とオンライン服薬指導を終えた患者のいる診療所まで、薬局から処方医薬品を想定した荷物配送を行う。また、買物弱者⽀援の物資輸送を想定し、地元スーパーから日用品配送を行う。
薬局から2カ所の診療所への配送はレベル3（無人地帯での補助者なし目視外）飛行で行い、そのうち1つは磐越自動車道を横断するルートとなる。使用する機体は、ACSLとエアロネクストが物流用途に特化して共同開発した物流専用ドローンで、KDDIのスマートドローンツールズ（※1）に接続して運航する。
SkyHubとはエアロネクストとセイノーHDが共同開発して展開する、ドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流の仕組みのこと。オープンプラットフォームかつ標準化された仕組みで、既存物流とドローン物流との接続点に設置されるドローンデポを拠点に、SkyHubアプリをベースにした配達代行、オンデマンド配送、医薬品配送、異なる物流会社の荷物を一括して配送する共同配送などのサービスを提供する。
※1 モバイル通信や運航管理システム、クラウドなど、ドローンの遠隔自律飛行に必要なツールを揃えたパッケージ。
同実証は阿賀町が採択された総務省「令和3年度 過疎地域持続的発展支援交付金事業」を活用して実施する。また、新スマート物流SkyHubの社会実装に向けたもので、ドローン配送サービス事業を主体とするエアロネクストの子会社NEXT DELIVERYが実施する。
人口約1万人の阿賀町は、中山間地域および特別豪雪地域に当たり、人口減少や少子高齢化が進行している。山間部に散在する集落が多く、高齢者の買物・医療へのアクセスについて徒歩以外の効率的な手段が求められている。
町の中心部から離れた地域では、3カ所の町診療所の開設および県立病院と診療所が連携した訪問診療を行っているが、うち2カ所の診療所には薬局が併設されておらず、5km以上離れた薬局まで処方医薬品を受け取りに行く必要があり、訪問診療では医師などが持参していない医薬品を20km以上離れた薬局まで受け取りに行くなど、高齢者の大きな負担となっている。
今回は、中山間地域および特別豪雪地域におけるドローン物流の社会実装を見据えた実証および結果の検証を行うとともに、町民のニーズ調査を含むラストワンマイルの配送網を活用して、住民向けの買物代行や医薬品配送の導入、同町におけるドローン有効活用に向けた実証を実施する。
阿賀町の2地域（鹿瀬地域、上川地域）において、かりん薬局を仮設のドローンデポとし、鹿瀬診療所と上川診療所をドローンの離発着のための仮設ドローンスタンドとして配送を行う。
実験では鹿瀬診療所で診察とオンライン服薬指導を受けた患者に、同薬局からドローン飛行により処方薬（模倣）を約13分で配送した（片道約7.5km）。
同実証の後、新スマート物流の構築に向けて、各社荷物などを集約化するドローンデポと複数のドローンスタンドを設置し、2022年度を目標に地上配送と将来のドローン配送を想定した買物代行サービスから開始するとしている。
