8月3日、内閣官房をはじめとする各省庁が集まり、「第18回小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会」を実施した。協議会では『空の産業革命に向けたロードマップ2022(案)』のほか、情報を追加した『レベル4飛行の実現に向けた新たな制度整備等』『ドローンの利活用促進に向けた技術開発について』『ドローンの利活用の促進・社会実装に向けた取組』が取りまとめられ、同日に首相官邸が資料を公表している。

▼小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会(第18回)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kogatamujinki/kanminkyougi_dai18/gijisidai.html

最新のロードマップ『空の産業革命に向けたロードマップ2022(案)』公表へ

 レベル4飛行の社会実装に向けて、今後の方向性を示す空の産業革命に向けたロードマップ2022(案)が公表された。環境整備の項目では、航空法改正によって新設される機体の認証、操縦ライセンス、登録・リモートIDの実装スケジュールに加え、新たに運航管理システム(UTMS)の導入検討が追加されている。

 また、2021年版の社会実装の項目には、物流と防災・災害対応が表記されていたが、新たにインフラ・プラント点検と地域との連携強化の項目が加わった。

6月からスタートした機体の登録制度の機体登録件数は28万7059件へ

 航空法改正によって新設される機体認証制度、操縦ライセンス制度などの構造を解説した『レベル4の実現に向けた新たな制度整備等』の資料では、6月から導入された機体登録制度の登録機体数の推移が追加されている。7月末までの累計は28万7059件の登録があったとされる。

 新設制度の解説に加え、福島ロボットテストフィールドの取り組みが追加され、南相馬市と浪江町を結ぶ海岸上13kmの飛行ルート設定に向けた取り組みや、実証実験用の滑走路、通信等の整備について記載されている。また、2021年4月から国土交通省職員が福島ロボットテストフィールドに常駐しており、実証試験のサポートや登録制度に対する運航支援、試験方法の策定支援などに取り組んでいる。

3次元空間IDの検討が進む技術開発

 主に運航管理システムと機体の開発について示されていた『ドローンの利活用促進に向けた技術開発について』の資料では、これまで取り組んできた耐候性、高ペイロード、長時間航行等に対応したドローンの導入が未だ困難であることから、「ドローンの標準的な性能規定化」を行う方針に切り替える旨を記載。これに伴い、実証実験や訓練講習を通じて国土交通省職員等の習熟訓練に取り組むとしている。

 多様な業務・用途で飛行する複数のドローンが安全に航行するために、3次元空間IDの検討が新たに追加された。これは、空間をリアルタイムに把握、その空間情報を運航管理で活用することで、安全確保と空間利用の高度化を両立するというものだ。

 この3次元空間IDは、気象データや建物データ、地下埋設物などの情報と紐づけることで、安全な運航管理に役立てられる。

 最後に、国土交通省は自治体の連携強化や取り組みの発信を目的とするドローンサミットを今年から年に1回開催することを発表した。初の開催となる第1回ドローンサミットは9月1日、2日に兵庫県(神戸国際展示場)で開催される。ドローンサミットでは、東京大学の鈴木真二特任教授と千葉大学の野波健蔵名誉教授による基調講演のほか、自治体会議、自治体と企業68社・団体が出展する展示・商談会、デモンストレーションが実施される予定だ。