2020年3月31日、DJIは、消防車両・消防設備メーカーのRosenbauer International AG(ローゼンバウアー)と新たに戦略的な提携関係を締結したことを発表した。緊急対応のデジタル化によるメリットを、関係者全員が享受できるよう両社は共同で取り組んでいく。空港や産業施設で活動する民間企業、悪天候の中でも緊急出動を要請される消防隊など用途にかかわらず、DJIの空撮技術とRosenbauerの運用管理システムの統合により、迅速に状況を判断し、安全で効率的な人員配備に関する意思決定を行うことが可能になる。

 「緊急対応チームにとって、限られた時間に的確な意思決定を下す必要に迫られたとき、スピードと全貌を漏らさず掌握する能力がきわめて重要となります。この意思決定を支援するため、当社は効率的な車両管理からナビゲーション、アラームアプリケーションまで幅広いITソリューションで緊急対応チームをサポートした実績があります。DJI社との提携により、当社はデジタル界の先駆者という立場を強化しつつ、消防や災害現場をデータに基づき総合的に管理するための統合技術を開発するために協力していきます」と、Rosenbauer InternationalのCEO、Dieter Siegel氏は述べている。

 また、DJI PresidentのRoger Luo氏は、次のように述べている。「Rosenbauer社は、消防車両の製造分野で卓越した技術を持ち、消防士が緊急時や災害救援対応に必要な最良のツールを開発し、消防士に力を与えるという高いビジョンを掲げており、DJIのドローン技術がこのビジョンをサポートできることを誇りに思います。DJIは、信頼性と拡張性の高いドローン製品を提供し、ドローン技術から得られるメリットで、消防や捜索・救助チーム、公共安全対応チームに大いに活躍していただきたいと考えています。生命、時間、資源を守るうえで、ドローンが果たす役割の重要性は日々高まっています。今回の提携は、両社の長期的な協力関係にとって重要な一歩であり、消防・災害対応活動でのドローンの活用が徐々に浸透してきたことを示すものでもあります」

 Rosenbauerの運用管理システムは、火災安全マップ、危険物データ、救急車両シートといった関連情報を提供することで現場の緊急対応チームを支援する、消防活動情報管理システムである。DJIのドローンフリート管理ソフトウェア「FlightHub」からのデータは、Rosenbauerの運用管理システムにシームレスに統合され、運用管理の意思決定者に追加の視覚情報データおよび熱画像データを提供する。この情報は、タブレットで現場の運用ユニットに中継されるほか、指令本部のモニターにも表示され、状況の全貌を伝える。人員、車両、その他機器といったリソースの効率的で安全な配備に関して、情報に基づいた意思決定をリアルタイムで行うことが可能になる。

 データの安全性は何よりも重要であるため、Rosenbauerの運用管理システムにリアルタイムで転送されるすべての情報、およびDJIのFlightHubから提供されるすべての情報は、厳重なセキュリティ管理体制下にあるヨーロッパの大手通信企業のデータセンターに設置されるサーバーに保存される。データトラフィックにもセキュリティ対策と暗号化処理が講じられている。データはすべてのモバイル端末と同期されるため、すべての運用チームが同じ情報を持ち、閉ループに維持される。

 両社は今後も緊急対応のデジタル化および消防車両へのドローン配備の推進活動を継続し、その過程で新たな使用事例や検証結果を共有していく、としている。

Rosenbauerについて

 Rosenbauerは、消火活動分野において国際的に活躍する企業グループである。消防車両、消防システム、消防設備、防火・安全装置、消防士やボランティアが利用する情報システムサービス、そして防火用設備の開発と生産を行っている。100か国以上でビジネスを展開しており、売上高は約9億1,000万ユーロ、従業員数は3,600人以上に達している。(2018年12月31日時点)