都市インフラを支える、街の裏側で働く“インフラロボット”

IBIS2/点検ドローン

写真:管内を飛行するIBIS2
管内など人が入れない場所も点検可能な「IBIS2」。

「IBIS2」は、リベラウェアが屋内点検用に開発した超小型の産業用ドローンである。機体重量は約243gと非常に軽量で、産業用ドローンとしては世界最小クラスのサイズとなっている。狭い空間や人が立ち入りにくい場所でも飛行できるよう設計されており、設備点検などの用途で活用が進んでいる。

写真:管の外を飛行するIBIS2
視認性を高めるLEDは、380lmの5段階調光。飛行時間はペイロードなしで11分。

 機体には高輝度LEDライトとカメラが搭載されており、暗所でも周囲を照らしながら鮮明な映像を取得することができる。こうした特徴により、天井裏や配管周辺、トンネルの上部など、人が点検するには危険を伴う場所でも安全に状況を確認できる。2025年に埼玉県八潮市の県道で発生した大規模な道路陥没事故では、事故後の調査にも使用された。

 高輪ゲートウェイでは、このような小型ドローンを活用することで、建物内部の点検作業の効率化や安全性向上を図る取り組みが進められている。人が入りにくい場所の点検をロボットが担うことで、都市インフラの維持管理の新しい形が実現しつつある。

ugo mini/遠隔点検ロボット

写真:「ugo mini」
屋内を巡回しながら点検を行う「ugo mini」。施設内の計器類の確認などにも活用される。

 ugo miniは、ugoが開発した屋内施設向けの巡回点検ロボットである。工場やエネルギープラント、データセンターなどの施設内を自動で巡回し、設備の点検作業を効率化することを目的として開発されている。

写真:カメラ部分を上に伸ばした「ugo mini」
高所の点検にも対応している。

 ロボットの上部にはカメラが搭載されており、事前に設定したルートを自動で巡回しながら設備の状態を確認する。例えばメーターの検針や設備の外観確認といった、これまで作業員が歩いて行っていた視覚点検をロボットが代替する仕組みだ。ugo miniは小型なロボットであるが、点検物が高い場所に設置されている可能性もあり、そのような場合には4Kカメラを取り付けたロボットの上部が伸びる構造になっていて、これによって対応する。

 取得した映像データはクラウドと連携して解析され、AIによって異常値などを検知すると通知することもできる。巡回はあらかじめ設定したルートに沿って自動で実行できるほか、必要に応じて遠隔操作でロボットを動かすことも可能だ。設備に異常が発生した際には、まずロボットが現場に向かって状況を確認し、その後に作業員が対応するといった運用も想定されている。

 高輪ゲートウェイでは、エネルギー供給設備などの点検業務への活用が検討されている。施設内には地下の設備洞道など人が確認しづらい場所も多く存在するため、ドローンなどと組み合わせながら点検作業の効率化や省人化を進めていく計画だ。

令和の忠犬 鉢公/植栽自動診断ロボット

写真:屋外の植物の近くにいる鉢公
四足歩行ロボットにカメラやLiDARを搭載し、施設内に設置された植物の生育状況を管理する。

「令和の忠犬 鉢公」は、四足歩行ロボットを活用して施設内などに配置されている植栽をモニタリングする実証プロジェクトである。ベースとなっているのは、中国のUnitree社が開発した四足歩行ロボットで、街の中を歩きながら植物の状態を観測することを想定している。

 この取り組みを進めているのは、これまで農業分野の研究に取り組んできた企業で、農作物の生育状況の分析や環境データの活用など、いわゆる「精密農業」に関わる研究を行ってきた。その技術を都市空間に応用し、街の植栽を効率的に管理する新しい仕組みの構築を目指している。

 都市部の街路樹や植栽は一見すると人の手で管理されているように見えるが、実際には水分不足や高温などの環境ストレスによって樹木が弱ってしまうケースも多い。特に近年は夏の猛暑などの影響もあり、管理が行き届かない場所では樹木が枯れてしまう例もあるという。そこで、このロボットに各種センサーを搭載し、街の中を巡回しながら植物の健康状態を継続的に観測することで、異常の兆候を早期に検知する仕組みを構築しようとしている。

 ロボットの背部には、マルチスペクトルカメラや高精度LiDARなどのセンサーを搭載することができる。これにより、植物の形状や葉の状態を立体的に取得し、3次元データとして解析することが可能になる。さらに、植物の幹や枝に取り付けるセンサーを用いて、樹液の流量など植物の生理状態をリアルタイムで計測する技術も組み合わせることで、より精度の高い植栽管理を目指しているという。

 また、ロボットには環境モニタリング用のセンサーも搭載する予定で、光環境や日陰の分布など、植物の生育に影響する周辺環境のデータも取得していく計画だ。こうしたデータを蓄積することで、都市空間の植栽管理をより科学的に行うことができるようになる。

 四足歩行ロボットを活用した植栽モニタリングは、こうした都市の緑を効率的に守る新しい取り組みとして注目されている。さらに、人が行き交う都市空間の中でロボットが自然と共存する姿を示すという意味でも、スマートシティの新しい可能性を示す実証といえる。

C-SParX(シースパークス)/自律型警備ロボット

写真:「C-SParX」と「C-SParX」が撮影した映像をタブレットで見せるスタッフ
自動巡回機能とディスプレイ搭載、さらには通報機能を備える「C-SParX」。

「C-SParX」は、施設内の安全監視を目的に開発された自律走行型の警備ロボットである。館内を自動で巡回しながら監視を行うほか、定位置での見守りにも対応しており、高輪ゲートウェイでは街の安全管理を支えるロボットとして運用されている。

 ロボットには複数のカメラが搭載されており、巡回中や監視中の映像は防災センターなどからリアルタイムで確認することができる。広い施設内をロボットが巡回しながら監視することで、警備業務の効率化を図ることが可能になる。

 また、本体前面にはタブレット型のディスプレイが設置されており、来訪者が困った際にはこの端末を通じて防災センターと通話することができ、館内の案内やトラブル時の問い合わせなどにも対応する。

 C-SParXの大きな特徴の一つが、AIを活用した画像解析機能だ。ロボットに搭載されたカメラの映像をAIが解析し、異常と判断される状況を検知すると、自動的に警備システムへ通知を送る仕組みとなっている。

写真:タブレットに映った映像(倒れる人を認識する様子)
人が倒れているのを自動で認識し、連携している警備員に通報する。

 例えば、巡回中に人が倒れている状況を検知した場合、ロボットはその状況を画像とともに防災センターへ通知する。さらに、倒れる直前の映像も含めた動画が送信されるため、現場で何が起きたのかを遠隔から確認することができる。

STRIVERⅡ・HAPiiBOT・R3-Vac・KIRA CV 50/清掃ロボット

写真:並んだ4台のロボット
左から「KIRA CV 50」「R3-Vac」「HAPiiBOT」「STRIVERⅡ」。

 高輪ゲートウェイシティでは、施設内の清掃業務を効率化するため、複数タイプの清掃ロボットの導入が検討されている。今回展示されたのは「STRIVERⅡ/ドライ清掃」「HAPiiBOT/ウェット清掃」「R3-Vac/ドライ清掃」「KIRA CV 50/ドライ清掃」の4機種で、それぞれ用途や清掃方式の異なるロボットを組み合わせることで、広い施設内の清掃を効率的に行うことを目指している。

 まず「KIRA CV 50」は、小型のドライタイプ掃除機ロボットである。コンパクトな機体サイズが特徴で、椅子の下や狭い通路など、人が清掃しにくい場所にも入り込んで清掃できる。高輪ゲートウェイシティでは、地下1階のコンベンションセンターなどのエリアでの利用が想定されている。

 続いて「R3-Vac」も掃除機タイプの清掃ロボットで、コンベンションセンターやバックヤードなどでの利用が検討されている。ブラシを回転させながらゴミを集める方式で清掃を行い、障害物や人を検知すると自動で回避しながら清掃を続ける。また、ディスプレイに表情を表示することができるなど、利用者に親しみやすいデザインも特徴となっている。

 3機種目の「HAPiiBOT」は、アマノが開発した床洗浄型の清掃ロボットである。広いエントランスや駅構内などの大面積の床を洗浄する用途で使用されており、すでに高輪ゲートウェイ駅でも運用されている。高輪ゲートウェイシティでも、広い通路やエントランスの床清掃を担うロボットとして導入が検討されている。

 そして「STRIVERⅡ」は、メカナムホイールを採用した清掃ロボットで、前後左右へのスムーズな移動が可能な点が特徴だ。ホイールの構造によりその場で方向転換することもでき、小回りの利く動きが可能となっている。さらにエレベーター連携にも対応しており、将来的にはオフィスフロアなど複数階にわたる清掃作業にも活用される予定だ。

 これらの清掃ロボットは単体で動作するだけでなく、清掃ルートや作業状況をデータとして管理する仕組みも整備されている。ロボットの稼働状況や清掃の進捗をシステム上で確認することで、清掃業務の効率化や管理の高度化につなげていく考えだ。

ロボットと共存する未来都市へ

 高輪ゲートウェイでは、自動運転モビリティや配送ロボットなど来街者が直接触れるロボットだけでなく、点検ドローンや巡回ロボット、清掃ロボットといった都市インフラを支えるロボットも数多く導入されている。これらのロボットがそれぞれの役割を担いながら連携することで、街の利便性や安全性、快適性を支える新しい都市運営の形が生まれつつある。

 特に高輪ゲートウェイは、街の設計段階からロボットの活用を前提としたスマートシティとして開発されている点が特徴だ。都市OSによるデータ連携や建物設備との連動により、ロボットが都市の中で自然に機能する環境が整えられている。

 今回紹介したロボットは、まだ実証段階のものも多い。しかし、こうした取り組みは将来的に多くの都市へと広がり、ロボットが当たり前に働く社会の実現につながっていく可能性がある。

 高輪ゲートウェイは、ロボットと人が共存する未来都市の姿をいち早く示す場所として、今後も注目を集めていきそうだ。