海洋ロボティクスの最前線が集結した「テクノオーシャン2025」

 2025年11月27日から29日の期間、海洋分野の国際コンベンション「テクノオーシャン(TON)」が、兵庫県の神戸国際展示場で開催された。2025年は「海といきる」をテーマに掲げ、持続可能な海洋利用のあり方について産学官の関係者が議論を交わした。基調講演やパネルセッションに加え、一般公開された展示会場では、ROV(Remotely Operated Vehicle:遠隔操作型)やAUV(Autonomous Underwater Vehicle:自律型)をはじめとする水中ドローンや海中ロボット、さらにはそれらと連携する水上・空中ドローンなど、多様な無人機が一堂に会した。

飛行艇型UAVから深海AUVまで――広がる国産無人機の最前線

 福島県を拠点に無人航空機の設計開発を手がけるハマは、2025年5月にスペースエンターテインメントラボラトリーから社名変更し、新たな体制で事業を展開している。会場では開発中の飛行艇型UAV「HAMADORI」シリーズを展示した。

写真:会場に展示された「HAMADORI 3000」
ハマが開発する「HAMADORI 3000」。

 翼幅3mの「HAMADORI 3000」は、飛行速度65km/h、航続時間2時間、運用半径20kmの中型機で、可視光30倍ズームカメラと赤外線センサーを備え、夜間監視にも対応する。

写真:「HAMADORI 6000」の縮小模型
「HAMADORI 6000」は動力源をエンジンにすることで、航続時間はHAMADORI 3000の4倍を実現。

 一方、翼幅6mの「HAMADORI 6000」は動力にエンジンを採用している。最大110km/hで飛行し、航続時間は8時間、航続距離は740kmに達する。3mの波高でも離着水可能で、衛星通信を活用したリアルタイムデータ伝送や、着水後に水深1000m超の海底位置を計測する技術など、空と海を横断するプラットフォームとしての可能性を示した。自律制御が可能な全天候型の設計で、調査や監視、物流、海水データの収集など幅広い用途で活躍する機体となっている。

 海中分野では、建設コンサルタント事業を手掛けるいであが、東京大学生産技術研究所や九州工業大学らと進めた「次世代海洋資源調査技術(海のジパング計画)」の成果を商用化したホバリング型AUVの最新版「YOUZAN 2」を公開した。

写真:「YOUZAN 2」
公共研究施設で開発した技術をもとに開発された民間機「YOUZAN 2」。

 YOUZAN 2は全長1.3m、重量275kgで、最大潜航深度は2000m。光ファイバージャイロと加速度センサーを組み合わせた高精度慣性航法装置により、海底地形を参照した測位を実現し、潮流下でも安定した航行が可能だ。深海生物調査や海底資源探査といった高付加価値ミッションへの対応力が強みである。

写真:海上技術安全研究所の展示
海上技術安全研究所は複数の海中探索機をモデルで紹介。

 海事・海洋技術の研究機関である海上技術安全研究所は、自律型無人潜水機(AUV)戦略の推進に取り組んでおり、研究用AUV「ほばりん」(写真中央)や航行型AUV4号モデル(写真右)、フリーフォール型深海探索機「江戸っ子1号」などの開発成果を紹介した。

 「江戸っ子1号」は、海面から最大1万1000m級の超深海まで連続して探査することを目標に開発された深海探査機で、最深8000mで365日間の海洋生物モニタリングを行うモデルなど複数のバリエーションが存在する。通信球、トランスポンダ、回路球、照明球、カメラ球などを組み合わせたモジュール構造が特徴で、船上からフリーフォールで投入して運用する。観測終了後はおもりを切り離すことで浮力により海面へ浮上し、GPSで位置を確認して回収する仕組みだ。会場では実際に使用されている部品も展示された。

写真:FullDepthの水中ドローン
FullDepthの水中ドローンは複数タイプがあり、国産ならではのサポート体制を整えている。

 水中ロボティクス分野ではスタートアップ企業の存在感も高まっている。産業用水中ドローンを開発するFullDepthは、用途に応じた複数の機体ラインアップを展開しており、展示ブースでは水中計測技術を搭載した「DiveUnit KAI」を紹介した。

 公開当時は実証段階だったが、現在公開されている仕様によると、本体サイズは幅444mm×奥行827mm×高さ490mm、重量は40kg。8基の推進器を搭載し、最大航行速度は2.0ノット、最大潜航深度は300m。稼働時間は最大4時間としている。