写真:会場の様子、スクリーンに表示された「天馬行空」

 一般社団法人日本UAS産業振興協議会(以下、JUIDA)は1月27日、都内にて「JUIDA新年の集い2026」を開催した。同会は、無人航空機産業関係者が一堂に会し、ドローン産業のさらなる発展と連携強化を祈念する恒例行事で、多くの関係者が出席し交流を深めた。JUIDAの鈴木真二理事長は、開会挨拶に先立ち、これまでの取り組みと今後の展望を示すとともに、2026年のスローガンとして『天馬行空(てんまこうくう)』を掲げた。

ドローン産業は自由な発想で飛躍を目指す年へ『天馬行空』

写真:挨拶をする鈴木氏
開会挨拶を行うJUIDA鈴木真二理事長。

 鈴木理事長は、2014年7月の創立以来、社会動向を的確に捉えながら業界の基盤整備を進めてきた歩みを振り返った。2015年の首相官邸への無人機落下事案当時、法規制が未整備であった中でも、JUIDAは先行して様々なガイドライン策定に取り組んできたことを強調。2022年12月の航空法改正によるレベル4飛行解禁と操縦ライセンス制度の開始が、社会実装を大きく前進させた転機であったと総括した。

 災害分野では、2024年1月の能登半島地震での支援活動を皮切りに、制度設計や体制構築を強化。2025年1月には「ドローン防災スペシャリスト教育」を開始し、JUIDA加賀アローレ飛行場を開設した。自治体や首都高速道路、東京都文京区との協定締結に加え、陸上自衛隊東部・中部・東北方面隊や航空自衛隊第1警戒隊との連携協定も締結。平時からの訓練参加を通じ、即応体制を整備している。

写真:上野原市・大月市林野火災への災害支援活動の説明スライド
1月に発生した山梨県上野原市・大月市での山林火災にJUIDA-D³として、3社が災害支援活動を行った。

 その成果の一例として、2025年1月の埼玉県八潮市道路陥没事故や各地の山林火災対応を挙げた。JUIDAが呼びかけて発足した民間防災組織「JUIDA-D³(ジュイダ・ディーキューブ)」は、1月8日に発生した山梨県上野原市・大月市の林野火災で即日出動し、機動的な支援を展開。今後も関係機関との連携強化を進める方針を示した。

写真:専門教育「ドローン点検スペシャリスト育成コース(マンション外壁編)」の説明スライド
2025年6月にJUIDA×東急コミュニティー×ハミングバードが連携し「ドローン点検スペシャリスト」資格を創設した。マンション外壁調査の即戦力を育成している。

 さらに、プラント点検、森林測量、外壁点検など専門操縦士証明制度の整備や、「ドローン点検スペシャリスト」資格の創設、ISO/TC20/SC16における国際標準化活動など、人材育成と国際連携にも言及。『天馬行空』というスローガンについては、「自由な発想で空を駆ける天馬のように、ドローン産業が飛躍する一年にしたい」と語った。

写真:ISO/7TC20/SC16 国際標準化/無人航空機専門委員会の説明スライド
ISO/TC20/SC16 国際標準化/無人航空機専門委員会において、2025年4月にISO25858フライトシミュレータ規格が採択された。

官民連携で加速する災害対応と制度整備

写真:話をする小林氏
内閣府 政策統括官(防災担当)付参事官(災害緊急事態対処担当)小林弘史氏。

 来賓として、内閣府、総務省、経済産業省、国土交通省、防衛省の代表が登壇した。内閣府の小林弘史氏は、激甚化・頻発化する災害を背景に、来年度から新たに「鳥の目プロジェクト」を開始予定と説明。ドローンや衛星で被災状況を把握し、ニーズとシーズをマッチングすることで迅速な初動対応につなげる考えを示した。

写真:話をする五十嵐氏
総務省 総合通信基盤局 電波部 移動通信課長 五十嵐大和氏。
写真:話をする古市氏
経済産業省 製造産業局 航空機武器産業課 次世代空モビリティ政策室長 古市茂氏。

 総務省の五十嵐大和氏は、5Gや5.2GHz帯の上空利用制度化、5.8GHz帯の実験局利用拡大検討など、電波環境整備の進展を紹介。有限資源である電波の有効活用に向け、産業界との連携を呼びかけた。経済産業省の古市茂氏は、ドローン産業基盤強化に139億円の補正予算を確保し、経済安全保障上の重要物資に指定したと説明。航空宇宙分野の成長戦略の中核として無人機を位置付ける方針を示した。

写真:話をする江口氏
国土交通省 航空局 安全部 無人航空機安全課長 江口真氏。

 国土交通省の江口真氏は、レベル3.5制度の創設や多数機同時運航ガイドライン策定、UTM(運航管理)の段階的導入など、制度面での最新動向を説明。安全確保を前提に、効率化と高密度運航への対応を進めるとした。防衛省の竹内哲也氏は、山林火災でのヘリコプターとドローンの連携事例を紹介し、安全保障環境の変化を踏まえた協力強化への期待を述べた。

写真:話をする竹内氏
防衛省 陸上自衛隊 東部方面総監部 幕僚副長 竹内哲也氏。

 その後、JUIDAの嶋本学参与が山梨県扇山火災でのJUIDA-D³の活動を報告。ブルーイノベーションが夜間飛行で火点を特定し地図化、富士山ドローンベースが継続的に情報を更新、Prodroneがヘリと同時飛行し地上隊へ音声指示を行うなど、各社が役割分担し連携。現地消防本部に配置された地図を基に消火活動が進められ、自衛隊の運航予定表にドローンが明記されるなど、航空アセットとしての位置付けが一段と明確になった。

 創設間もないJUIDA-D³だが、官民連携の実践例として確かな成果を示した形だ。『天馬行空』の言葉通り、自由闊達な発想と実行力を武器に、2026年のドローン産業は制度・技術・運用の各側面で新たな飛躍段階へと進もうとしている。