2026年3月2日、KDDIとAVITAは、ヒューマノイドなどのハードウェアを介して現実世界に物理的な作用をもたらす「フィジカルAI」の活用を目的とした戦略的事業提携を開始した。

 この提携により、両社はAVITAのアバター制作ノウハウや操作技術と国内開発のフィジカルAI技術とを掛け合わせたヒューマノイドを開発し、KDDIの通信インフラを活用して実社会で円滑に活動できる環境を構築する。

 また、AVITAのAI技術とKDDIのデータ活用ノウハウをヒューマノイドのAI学習に活用することで、ヒューマノイドの自律動作精度を向上させる。国産ヒューマノイドとして、表情で安心感を伝えるといった非言語コミュニケーションが求められる接客業務など、新たな業務領域でのユースケース創出を目指す。

 KDDIが2026年1月に稼働を開始した大阪堺データセンターで提供するGPUおよびGoogleの生成AIモデル「Gemini」のオンプレミスサービスとの連携も検討していく。

写真:カウンターの中に立つヒューマノイド

 両社はこれまでの協業において、デジタル上のアバターを活用し、生活に必要なサービスに関する接客が遠隔で受けられる「次世代リモート接客プラットフォーム」をローソンやau Style/auショップなどに導入することで、サービス利用者や事業者の課題解決に取り組んできた。今後はアバターによるデジタル上での言語コミュニケーションに加え、実空間での自由な移動や非言語コミュニケーションも可能なフィジカルAIへと協業領域を拡張していく。国産ヒューマノイドをさまざまな分野の接客業務に活用していくことで、労働力不足などの課題解決を目指す。

 近年、少子高齢化などによる人手不足への対応と労働力の確保が課題となると同時に、生成AIや産業用ロボットなどのデジタル技術が急速に浸透している。産業用ロボットは単一作業に強い一方、機器の故障など突発的なトラブルへの対応力や、複数作業を多角的に対応できる汎用性には課題がある。また、人の目線に合わせてうなずく、指を差して案内する、表情で安心感を伝えるといった非言語コミュニケーションが求められる業務においては、活用が難しいのが現状である。

 KDDIとAVITAは、おもてなしや複雑な対話が求められる接客業務において、フィジカルAIを搭載したヒューマノイドのユースケースを創出し、社会実装を目指す。AVITAは、ヒューマノイド・Physical AI(フィジカルAI)事業を開始し、これまで培ってきたアバター技術や遠隔操作・対話AIを基盤に、ヒューマノイドの開発、販売、運用を含む総合的なサービス提供を進めていく。

主な取り組み

ヒューマノイドの開発とスムーズに稼働できる通信インフラの構築
 ヒューマノイドが実社会でスムーズに活動するためには、視覚情報や制御コマンドなどの大容量データをリアルタイムに伝送し、低遅延で処理する通信環境が必要となる。KDDIの通信技術を活用し、AVITAの開発したヒューマノイドの遠隔制御およびAI処理を支える通信インフラを構築することで、接客シーンにおける高品質なやり取りを実現する。

ヒューマノイドの動作データの蓄積
 ヒューマノイドによる接客時に得られた視覚・動作データをクラウド上で収集・解析し、AIの学習に活用する。これによりヒューマノイドの自律動作精度を向上させる。
 KDDIの大阪堺データセンターで提供するGPUおよびGoogleの生成AIモデルGeminiのオンプレミスサービスとの連携も検討していく。

商用サービス化に向けたトライアルの実施検討
 2026年秋以降に実際の商業施設などに導入し、商用サービス化に向けたトライアルを行う予定。将来的には、au Style/auショップへの導入も検討していく。

【各社役割】

KDDI・通信技術およびAIデータセンターなどのアセットを活用した稼働インフラの構築
・商用サービス化に向けたトライアル環境の整備 など
AVITA・国産ヒューマノイドの開発 など

ヒューマノイドのコンセプトモデル

 今回の提携におけるフィジカルAIの接客活用コンセプトモデルは、2025年に開催された大阪・関西万博でパビリオン「いのちの未来」のプロデューサーを務め、AVITA代表でもある石黒浩氏がデザインしたヒューマノイドを基盤に、機能を刷新したものとなる。

 ベースの骨格を小型に設計した日本人に近い体格と、シリコン皮膚と特殊機構を用いた温かみのある表情で、親しみやすさのある外見を持つ。空気圧駆動により静音で、長時間稼働が可能。揺らぎのある人間らしいしなやかな動作を演出する。話す内容にあわせた表情・動作の変化や、眼球に内蔵されたカメラセンサーが動作物を検知することで、自然な目配りを実現する。また、学習した視覚・動作データをもとに自律的に動作し、利用シーンにあわせて応答内容を容易にカスタマイズできる。

ヒューマノイド
ヒューマノイドの横顔