水インフラ分野のコンサルティングを手がけるNJSと、同社が国産ドローンメーカー・株式会社ACSLと共同出資する合弁会社FINDiは、2025年7月23日~25日に東京ビッグサイトで開催された「メンテナンス・レジリエンス TOKYO 2025」に出展し、現在開発中の水上走行型ドローン「Water Slider WS2」や、水中ドローン「WATERi FF2」などを展示した。

水上走行型ドローン「Water Slider WS2」とは?

写真:展示された「Water Slider WS2」
NJSのコーナーに展示された開発中の水上走行型ドローン「Water Slider WS2」。

「Water Slider WS2」は、主に下水道管や水道施設など、水を止めることが難しい現場でのインフラ点検を想定して開発中の水上型ドローンである。船体は全長810mm、幅425mm、重量8.78kgのコンパクトなボート型で、最大約60分の連続走行が可能だ。

 推進用プロペラ2基を後部に搭載し、横移動やその場旋回を可能にする横制御用プロペラを左右に計4基搭載しており、高い機動性を持つ。操縦者は船首部分に搭載されたFPV(First Person View)カメラを通じてリアルタイムで状況を確認しながら操縦できる。前後にはLEDライトも装備されており、暗所での点検にも対応している。

写真:「Water Slider WS2」機体上部のカーボン製の板
機体の上部には、さまざまな機器を固定するためのカーボン製の板が搭載されている。

 特筆すべきは「平らな甲板」構造だ。この甲板には複数の固定穴が設けられており、用途に応じてカメラや各種センサーを複数台搭載でき、下水道管などの狭小空間に侵入して内部の画像データを取得、コンクリートのひび割れや構造物の不具合を可視化できる。

 通信方式は無線操縦のほか、電波が届きにくい環境でも安定した運用ができるよう、最大600mの有線操縦用ケーブルにも対応。さらに、点検対象の不具合箇所を特定するための独自の位置情報計測センサーも開発が進められている。

 担当者は「左右にプロペラがあることで動きの自由度が高く、横移動やその場旋回しながらの撮影やデータ取得が可能です。水を止められない施設などでの活用を想定しています」と説明する。

水中ドローン「WATERi FF2」も展示

写真:水中ドローン「WATERi FF2」
水中ドローン「WATERi FF2」。外付けのカメラも6台まで搭載できる。

 FINDiが運用・販売する水中ドローン「WATERi FF2」も展示された。WATERi FF2は、米国Blue Robotics社のBlue ROVをベースに改良した水中ドローンだ。全長612mm、幅478mm、高さ374mmで、乾燥重量は約24kg。最大水深300mまでの潜行と、最大9時間の連続稼働が可能な高性能機である。

 船体上部と下部の2か所に固定カメラを搭載し、周囲を照らす8基のLEDライトを装備。さらに、最大6台までの追加カメラの搭載に対応する。全周ソナーにより周囲の障害物を自動で感知し、安全な航行を実現する。

 これにより、従来は潜水士など人力で行われていたダムや河川、水中構造物の調査、さらには海洋での点検業務が遠隔操作で可能となり、安全性の向上とコスト削減の両立が期待されている。

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