ライカジオシステムズは測量・建設業界向けに高度な計測ソリューションを提供している。2025年6月18日から21日まで千葉県の幕張メッセで開催された「国際 建設・測量展(CSPI-EXPO 2025)」では、同社が開発した自律型レーザースキャナー「BLK ARC」を搭載した米Boston Dynamics社製の四足歩行ロボット「SPOT」と、自律飛行型レーザースキャナードローン「BLK2FLY」を展示した。

四足歩行ロボットSPOT×レーザースキャナーBLK ARCでデータ収集

 米Boston Dynamics社が開発したSPOTは、段差や階段などの障害物を乗り越えられる高い機動性を持つ。これにライカジオシステムズのレーザースキャナーを搭載し、ロボット型の計測ソリューションとして紹介されていた。

写真:BLK ARCを頭部に装着したBoston Dynamicsの「SPOT」
BLK ARCを頭部(右側)に装着したBoston Dynamicsの「SPOT」。左側のLiDARは、「SPOT」の自律制御のために使用される。

 搭載された自律型レーザースキャナー「BLK ARC」は、水平360度、垂直270度の視野を持ち、毎秒42万点の点群データを高精度で取得する。ロボットと組み合わせることで、人の立ち入りが危険な現場や複雑な構造の建物内部でも、詳細な3D点群データを安全に取得することが可能になる。

 また、SPOTは自律的な歩行が可能で、あらかじめルートを設定しておけば、繰り返し同じルートを歩行することができ、定期巡回にも活用できる。これにより、工事現場での進捗管理や設備の異常検知など、建設現場やプラントの監視・管理業務を効率化する。

写真:充電中の「SPOT」
「SPOT」は自動的に帰還して充電を行う。

自律飛行型ドローンBLK2FLYの性能と活用シーン

 ライカジオシステムズは、BLK ARCと同様のレーザースキャナーを搭載した自社開発のドローン「BLK2FLY」も提供している。機体寸法は53×60×19cmのコンパクトな設計で、バッテリーを含む重量は2.6kg。そして約10分間の飛行が可能だ。

写真:「BLK2FLY」外観
自律飛行型レーザースキャナードローン「BLK2FLY」。

 機体はプロペラガードと一体型の設計で安全性を高めており、機体の左右に搭載したカメラと他のセンサーを組み合わせて障害物を自動で回避する機能を備える。手動操縦も可能であるが、基本的には自動航行での運用を想定している。

 小型な機体サイズを活かし、主に屋内での点群データの取得に役立てられる。障害物の多い建物内で自動航行を行い、点群データを取得することで進捗管理といったデータの蓄積を行うことも可能だ。

写真:「BLK2FLY」の前方部分
「BLK2FLY」の頭部。レーザースキャナーが搭載されている。

 今回のCSPI-EXPO 2025での展示は、建設現場やインフラ管理における3Dスキャンの活用をより現実的なものとするソリューションを示したものだ。人が立ち入れない危険箇所の調査、進捗管理、維持管理業務の効率化など、測量業務の省人化・自動化を通じて生産性向上を支援するライカジオシステムズの取り組みに注目が集まった。

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