2025年6月18日から21日にかけて千葉県の幕張メッセで開催された「国際 建設・測量展(CSPI-EXPO 2025)」において、東京電力ホールディングスと東芝エネルギーシステムズは共同開発中の「ドローン・ワイヤレス給電システム」を出展した。
磁界結合方式で実現するワイヤレス給電
現在、産業用ドローンのほとんどはバッテリー式が主流で、フル充電でも飛行時間は30分程度に限られる。点検や監視業務での運用においては、バッテリー切れによる航続距離の制約や交換作業が大きな課題となっている。こうした課題を解決するため、両社は約7年前からワイヤレスでドローンを充電するポートの開発を開始し、内閣府主導の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」にも採択されることで、現在も開発が進められている。
今回展示された開発中のシステムは、磁界結合方式を採用したワイヤレス充電技術を用いている。ポートは、ドローンを格納し充電できる離着陸場となる大型ポートと、航路上に設置する小型の中継充電ポート(縦横1m)の2種類があり、これに加え電源装置を開発している。ドローンには機体下部に専用の受電装置を搭載し、ポートに着陸するだけで自動的に充電が行われる仕組みだ。
このシステムにより、離着陸場となる大型ポートから離陸したドローンは、作業中にバッテリー残量が低下した際には、ドローンが作業現場近くに設置した小型充電ポートまで自動で戻り、着陸して充電を行った後、再び離陸して作業を継続できる。さらに航路上に複数の中継ポートを設置すれば、長距離の飛行ルートにも対応可能となり、山間部や広域にわたるインフラの監視・点検業務などでの活用が期待される。
群馬県尾瀬で自動運用の実証実験を実施
2024年11月には群馬県片品村の尾瀬エリアで実証実験を実施し、2か所に充電ポートを設置した上でProdrone製の機体に受電装置を搭載し、約3kmのコースを自動飛行させた。離陸、航路飛行、充電ポートへの自動着陸、ワイヤレス充電、再離陸という一連の動作を無人で成功させ、実運用に向けた技術の有効性を確認している。
今後は長期間の設置運用を想定し、ポートへの汚れや気象条件が充電性能に与える影響などを検証していく予定である。東京電力ホールディングスの担当者は、道路監視をはじめとするインフラ点検業務の省人化や自動化を実現する技術として大いに期待していると話していた。
