世界最大級の無人機の展示会「XPONENTIAL」が2024年4月22日から25日の4日間、米国カリフォルニア州サンディエゴで開催された。今年は、AUVSI(The Association for Uncrewed Vehicle Systems International・国際無人輸送システム協会)とメッセ・デュッセルドルフ・ノースアメリカが共同で主催し、本誌ドローンジャーナルはオフィシャルメディアスポンサーとして現地を訪問し取材した。
米国も「国産」に舵
今年の潮流のひとつは「Made in America」。NDAA(National Defense Authorization Act・米国国防権限法)準拠の機体やプロポが求められているという声が、さまざまなブースで聞かれた。
例えばAurelia Aerospaceは、日本国内でも代理店で取り扱われている製品を提供しているが、アメリカでは顧客が求める場合にはNDAA準拠のフライトコントローラーとプロポを選べるようにしているという。
米国市場開拓を推進するACSLも、主に電力会社への販売促進を強化中だというが、機体とプロポともにNDAA準拠の条件を満たしている点は、大変高評価につながっているそうだ。
海外進出を図る日本企業
今年はACSLのほかにも、スペースワンが2年連続で出展したほか、SONY、メトロウェザー、Okuma Droneらが米国をはじめとする海外での販路拡大やパートナー開拓を目的に、ブースを構えていた。日本企業の出展の詳説は別途レポートする予定なので、ここでは概況をお伝えする。
SONYは「Airpeak S1」のほか、昨年12月に米国でも販売を開始したレンズ交換式フルサイズ業務用カメラなどモジュールも紹介していた。当初の販売計画の約2倍の売れ行きだそうで、本出展でさらに弾みをつけることを狙う。
メトロウェザーは、小型ドップラーライダーを独自開発する京大発ベンチャーで、風況データビジネスを手がける。今回はNASAで行っている実証実験の内容などを紹介し、主に米国への販路拡大を目的として出展したという。
スペースワンの出展はとてもユニークだった。テーマは前年に引き続き、「日本と海外のネットワーク構築のサポート」ということで、出展協賛プランを用意して、同社のブースで製品やサービスを紹介する企業を募っていた。
この協賛プランに名乗りを上げたのが、同じ福島県内に本拠地を構えるOkuma Drone。同社はUTMの開発と提供や、水素燃料を活用したドローンの研究開発などを手がけ、国内をはじめ東南アジアなどグローバルに活動するスタートアップだ。この出展で、国内外の出展企業らと交流を深める様子が印象的だった。
なおスペースワンは、5月17日にXPONENTIAL視察報告のセミナー開催、また続けて報告書の発行も予定している。
物流はやや失速気味か
昨年と比べて出展が少なかったのが物流ドローンだ。米軍をはじめとする重量物長距離搬送用の無人機は目立ったが、商用の物流としてはWing、blueflite、PABLO AIR、A2Zなどの機体が点在するにとどまった。
点検用途やドローンショーも目立つ
点検用途の機体やサービス、ドローンショー企業の出展が目立っていた。ドローン点検サービスプロバイダー大手のCyberhawkのブースは1コマにも関わらず、会期中はほぼ連続して来訪者が途絶えなかった。
PABLO AIRは物流機のみならずドローンショーも打ち出していた。同社のほかにも、ライトだけではなく花火を発射できる屋外ドローンショー用機体を紹介する企業が多かったことも印象的だ。
本稿は速報レポートとして概況をお伝えしたが、日本企業出展の詳説や、目立った企業の出展紹介レポートなどの続報もお届けする予定だ。