写真:IHI運搬機械の展示コーナーの様子
フライングカーテクノロジー2024でのIHI運搬機械の展示コーナー

 10月に東京ビッグサイトで開かれた空飛ぶクルマの専門展示会「フライングカーテクノロジー2024」でIHIの関連会社であるIHI運搬機械が、空飛ぶクルマの離着陸場である“バーティポート”の関連製品などの展示を行った。

機械式駐車場の技術を活かした全自動の離着陸場の開発

 IHI運搬機械は1973年に設立されて以来、全国や海外で多くの機械式駐車場のシステム設置などを手がけており、新明和工業、三菱重工機械システムなどとならぶ、機械式駐車場のトップメーカーだ。

 同社ではドローンや空飛ぶクルマの社会実装が進むことを見越し、自社が持つ自走式や機械式駐車場の技術を応用・進化させてエアモビリティと地上交通を繋ぐ役割を担う“バーティポート”の事業に乗り出した。

 物流ドローン関連では、すでにドローンソリューションの提供を手掛けるブルーイノベーションと共に、貨物運搬用ドローンから車などの地上交通へ貨物を完全自動で受け渡しできるポートの開発に着手しており、静岡県沼津市の同社工場で開発や実証が進んでいる。

ドローンから荷物を無人で受け渡しできるIHI運搬機械のポート(同社ビデオ)

 今回の展示では空飛ぶクルマの発着頻度や立地などで3種類の形態を提案した。まず、数台の空飛ぶクルマが発着、充電ができる「バーティストップ」。地域拠点として10台程度の空飛ぶクルマが定期運航できる「バーティポート」。さらに空港や港、鉄道の駅などターミナル近くに設置して多くの機体の運航が可能となる「バーティハブ」の3形態。いずれも同社が機械式駐車場の設置で得たノウハウを投入する計画だ。

 多くの空飛ぶクルマは、着陸装置がヘリコプターのようなスキッド式(ソリのような形)が多く、着陸地点から駐機場所までは自走できない。そこで空港でみかけるトーイングカー(牽引車)のように、機体に車輪を装着して離陸場所や駐機場所まで人を乗せたままで移動できるシステムを開発し、効率のよい発着場を目標にしている。

写真:車輪ユニット(着陸時)
展示された「空飛ぶクルマ」を移動させる際に装着する車輪ユニット
写真:説明パネル(バーディポート)
「バーティポート」を説明するパネル展示

 展示会では搬送システムで使われる予定の車輪などが展示された。計画では、パレットは1~3人の搭乗者を乗せたままで空飛ぶクルマが安全に移動できるものを目指す。

 同社の担当者は「空飛ぶクルマという空の移動手段を、鉄道など地上の移動手段にシームレスで繋げたいと考えています。(もっとも小規模な)バーティストップについてはビルの屋上などの活用を検討しており、2027年から2028年頃の実現を目指しています」と話していた。

#フライングカーテクノロジー2024記事