大阪・関西万博の空飛ぶクルマ運航事業者として選定された丸紅は、提携しているイギリスのメーカーVertical Aerospace社の5人乗り電動垂直離着陸機(eVTOL)「VX4」の10分の1サイズ模型をJapan Drone 2024で展示した。

イギリスメーカー製空飛ぶクルマ「VX4」

Aerospace社のeVTOL「VX4」

 丸紅は、Vertical Aerospace社の5人乗りVX4とLIFT Aircraft社の1人乗り機の2種類のeVTOLを扱っており、本展示会ではVX4の10分の1サイズ模型が展示された。

 VX4は、パイロット1名と乗客4名の合計5名が乗れる機体であり、座席は前向きではなく、向かい合わせの配置で設計されている。2024年6月現在ではデモ機でのテスト飛行段階となっており、2026年中の型式証明取得を目指しているとのことだ。

Aerospace社のeVTOL「VX4」

 主な仕様として、巡航速度は150マイル/h(約241km/h)、航続距離は100マイル(約161km)、離着陸に必要な面積は直径13m程度、ホバリング時の騒音レベルは60dBA程度と低騒音設計となっている。

 100マイルの航続距離があるということは大阪湾から淡路島、六甲山の北部までをカバーできるため、実装後は都市間の移動に適している機体と言えるだろう。

丸紅とVertical Aerospace社の提携

「VX4」の説明パネル

 丸紅はVertical Aerospace社と戦略的パートナーシップを締結しており、事業化に向けた取り組みを進めている。

 提携内容について丸紅の担当者は「丸紅は単なる販売代理店ではなく、共同事業として社会受容性の向上やマーケティング調査を行っており、商業運航のデータ収集も予定している」とコメントした。

 VX4の市場は現時点ですでにアメリカン航空が50機分、丸紅が20機分の前金を支払っており、世界全体で1500機ほどのプレオーダーが入っているという。開発状況としては、現在デモフライトテストの段階にあり、型式証明取得の準備中である。2024年7月には大阪・関西万博と同様のデモフライトをイギリスで予定しており、成功すれば日本への導入が期待される。

 なお、現時点でVX4の機体価格は4百万ドル(約6億3800万円)程度とのことだ。

丸紅の事業計画と今後の展開

「丸紅は2025年の大阪・関西万博でのeVTOLの実証運航に向けて、国内外の関係者と協議を進めている最中だ」と寺内氏は語った。万博でのVX4のデモフライト後の中長期的な事業化として、具体的には、2027年から関西エリアを中心に、VX4を使った観光用途でのサービス提供を計画している。同エリアのインバウンド観光客をターゲットとして、大阪や兵庫県の中心地からアクセスが難しい観光地への送客サービスを想定しているとのことだ。

 また、VX4の運航ルートが決まり次第、必要なインフラの整備を開始する予定であり、今年度中に具体的なポイントを定める方針を取っている。

 丸紅は今後の事業計画としてeVTOLを活用した新たなモビリティサービスを提供することで、都市部での移動時間の短縮や、離島・山間部等の交通課題の解決に貢献することを目指すとしている。

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