GMOインターネットグループはJapan Drone 2024において、大きく分けて「ドローンの実運用におけるセキュリティ解説」と「空飛ぶクルマVR体験」のふたつをメインとして出展した。

ドローンの運用をより効率かつスマートなものにする「DOP SUITE」

登壇するGMOグローバルサイン浅野昌和氏とドローン・ジャパン取締役会長の春原久徳氏

「ドローンの実運用における課題とDOP SUITEのねらい」ではGMOグローバルサイン浅野昌和氏とドローン・ジャパン取締役会長の春原久徳氏が登壇し、2024年4月16日にリリースされた機体ログ活用クラウドサービス「DOP SUITE」について解説した。

 DOP SUITEはドローン・ジャパン、パナソニック システムデザイン、GMOグローバルサイン・ホールディングスの3社共同で開発したクラウドアプリケーションで、機体ログをクラウドに集めてドローンの機体状況を解析・管理するクラウドサービスだ。

スライド:なぜ運用段階において課題が多く上がってきているか?

 ドローンを社会実装し実運用する上では、実証実験と実運用それぞれのステージで大きく異なる点がある。実証実験はエンドユーザーの企画グループが主導してどのように使えるかを検証することが目的だが、実運用では現場の担当者が主導し、安定的に運用するための具体的な方法を把握しなければいけない。

スライド:本格運用に向けての課題

 そのため、実証実験では成功事例が強調されるが、実運用では全ての運用が安定して行われる必要がある。しかしながら、実証実験はドローンのプロが担当するも実運用は物流業者や飲食店スタッフなどの現場のプロが担当し、現場のプロはドローンの専門知識に乏しいのが現状だ。この他にも、人材育成や運用管理、安定性、セキュリティなど、実証実験ではなく本格的に運用する場合はさまざまな課題をクリアしなければならない。

 DOP SUITEはこのような現状を改善し、担当者の習熟度を問わずにドローンの状態を把握できるサービスだ。

スライド:DOP SUITEの接続イメージ図

 機体ログの収集と解析のほか機体のメンテナンス管理や飛行経路や振動の監視、異常が発生した場合のアラート機能、メーカーへのログ情報提供機能などが搭載されているため、機体ログの管理と解析を通じて、運用の効率化と安全性向上を実現するサービスとして活用され始めている。

 今後はDOP SUITEによる安定運用とセキュリティ確保が進むことで、ドローンの実運用における課題が解決され、さらなる普及と活用が期待されることだろう。

個人のドローン運用でも油断はできないドローンセキュリティ

登壇するGMOサイバーセキュリティ byイエラエ 高度解析部 高度解析課の三村聡志氏

 ステージのひとつとして開催された「ホワイトハッカーが解説!ドローンセキュリティ編」では、GMOサイバーセキュリティ byイエラエ 高度解析部 高度解析課の三村聡志氏が登壇し、ドローンのセキュリティリスクとその対策について詳しく解説した。

 通常のハッカーとホワイトハッカーの違いとして、三村氏は「攻撃者と同じ技術を持っているが、ホワイトハッカーは善良な心を持ったハッカーであり、適切な防御策を提供するためには攻撃方法を理解していることが重要である」と説明し、ドローンの代表的なセキュリティウィークポイントとして、データの漏洩と不正操作を紹介した。

スライド:ハッキングの様子

 会場の映像にはドローンのカメラ映像が盗み見られたり、制御が乗っ取られたりする様子が紹介され、ものの数秒で終了する攻撃も容易にセキュリティを破ることができると分かる。

スライド:ドローンの主なサイバー攻撃リスク

 例えばデータ漏洩の中でも監視用ドローンの映像が事前に盗まれた映像に差し替えられると、異常が発生しても気づかない可能性があり、差し替えられている間に犯罪行為が発生しても気付けなくなってしまう。産業利用では犯罪行為の予防ができなくなるだけではなく、被災地での活用時に人命救助ができなくなるリスクも起こり得る。個人利用であれば、ドローンの操縦が乗っ取られ、第三者等への意図せぬ攻撃に利用される可能性も高い。

スライド:ドローンにおける守るべき対象

 三村氏は「ドローンのセキュリティ対策として、ドローン本体・通信経路・クラウドサーバーの3つを守ることが重要だ」と話し、その上で推測されやすいパスワードを使用しない、安全なソフトウェアを使う、通信をTLSなどで暗号化する、不要な機能がないか確認する、秘密鍵や個人情報を暗号化して保護することが重要だと解説した。

空飛ぶクルマの乗車風景をVRでリアルに体験

空飛ぶクルマVR体験の様子

 GMOインターネットグループはセミナー開催以外にも「空飛ぶクルマVR体験」として、実際にVRヘッドセットを装着して空飛ぶクルマに乗り込む体験会も実施した。VR映像の中では東京都渋谷区にあるGMOインターネットグループの本社から、用賀にあるGMOインターネットTOWERまでの飛行を疑似体験可能だ。

GMOインターネットグループの展示ブース

 飛行中、東京の街並みを空から眺めながら空飛ぶクルマが実装された世界観を体感できる。その中で突然セキュリティリスクに直面するシナリオが展開される。サイバー攻撃による墜落事故や、通信を乗っ取られた空飛ぶクルマが重要施設への攻撃に使われる可能性など、空飛ぶクルマの普及における最大のリスクを体感できるため、実際に空飛ぶクルマが導入された世界線でのセキュリティ対策の重要性を体感できた。

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