アメリカの航空機開発・受託製造企業の日本法人であるスウィフトXi(エックスアイ)は、VTOL型ドローン「SWIFT CRANE(スウィフト・クレーン)」を出展。長距離・広域の監視や捜索といった用途を想定したドローンで、消防、警察、自衛隊といった防災関係機関の関係者の関心を集めていた。

省電力で約1.5時間の長時間飛行を実現

写真:展示ブースのスウィフト・クレーン
翼に対して垂直方向に大きく伸びたスキッドが特徴的な「スウィフト・クレーン」。

 スウィフトXiは、航空宇宙工学サービス企業である米SWIFT Engineering(スウィフト・エンジニアリング)と、神戸情報大学院大学が共同出資して設立された企業だ。1983年にレーシングマシン・コンストラクターとして創業したスウィフト・エンジニアリングは、2000年から航空宇宙分野に進出。カーボンコンポジットをはじめとしたレーシングマシン開発・製造の技術を生かし、現在はノースロップ・グラマンやボーイングといったアメリカを代表する航空機メーカーの開発や部品製造を受託している。

 2014年には独自に開発したVTOL型ドローン「SWIFT020」をリリース。独自の「X-Blade Technology」というテールシッター型VTOL型ドローンで、スウィフト・クレーンはその進化型にあたる。同機は翼長約4.2mの無尾翼機で、機首を真上に向けて離着陸を行う。最大離陸重量は20kgで、1.1kgのペイロードを搭載可能。水平飛行時は60km/hで巡航し、最高速度は82km/hという能力を備えている。推進用プロペラ及び離着陸用のローターは、リチウムイオン電池で駆動し、約1.5時間の飛行ができる。

 ブースに展示されていた機体には、可視光・赤外線ジンバルカメラが搭載されており、少ないエネルギーで長時間の滞空が可能な固定翼機のメリットを生かし、広域の監視や捜索といった用途に適している。同機は米国防総省が規定するsUAS(無人航空機システム)のグループ2(約25kg以下、気圧飛行高度約1000m、最大速度約460km)に該当しており、陸上自衛隊が導入している「Scan Eagle2」と同じカテゴリーに分類される。

写真:機体に搭載されたカメラ
機体下面中央に搭載された可視光・赤外線カメラ。
写真:折りたたまれたプロペラ
写真:折りたたまれたプロペラ
機体中心の前後に設けられたプロペラは離着陸用で、水平飛行時は折りたたまれる。

 同社ではこのスウィフト・クレーンのほかにも、33ccの2ストロークガソリンエンジンを搭載し、最大で14時間の飛行が可能な固定翼型ドローン「SWIFT ACCIPITER」も展開。スウィフト・クレーンと合わせてユーザーのニーズに応じた活動範囲を提供できるとしている。能登半島地震を契機に、改めて日本では災害対策機材としてドローンに対する関心が高まっているが、スウィフトXiのブースは、「警察をはじめとした防災関係機関のほか、総合商社の関係者の関心が高い」(説明員)という。

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