ソフトバンクは、同社が販売や導入支援を請け負うアミューズワンセルフの新型ドローン2機などを初展示した。このうち1機はガソリンとバッテリーのハイブリッド機で、積載物無しで約3時間の飛行が可能。バッテリーを含めた純国産機となっており、5月には国土交通省初の長時間連続飛行実験に採用されるなど、国からの注目も高い。近くソフトバンクでの販売を始める予定(一部アミューズワンセルフでも販売中)で、今後は同社の高精度測位サービス「ichimill(イチミル)」との連携など、様々なサービスを合わせたパッケージでの提供も視野に入れる。担当者は「長時間飛行することで通信の価値がより重要になる」と話している。
初展示となったのは、長時間飛行が可能なハイブリッド型ドローンGLOW.H(HYBRID DRONE)と、バッテリー型ドローンGLOW.L(Li-ion BATTERY DRONE)。ハイブリッド型のGLOW.Hはガソリンでエンジンを稼働させることで、常にバッテリーを充電しながら飛行する仕組み。搭載物無しで約3時間、レーザースキャナー「TDOT 3 GREEN」を搭載した状態で約2時間の飛行が可能。広範囲の測量を行う場合、一般的なドローンでは1回のフライト時間が短いため、離着陸を繰り返す必要がある上、その都度バッテリーの交換や充電といった作業に時間がかかることが課題だった。それに対し、GLOW.Hは長時間飛行が可能なほか、ガソリンを給油するだけで再び離陸できるなど作業効率が高いことが強み。同社資料によると、TDOT 3 GREENを搭載した状態で、1度のフライトで1km×2.6kmの範囲を測量した実績がある。
国土交通省の実験に参加するなど純国産機としてのポジショニングも強化
GLOW.Hは5月に国交省が初めて実施した長時間飛行実験に参加しており、ブースではその様子をまとめた動画も放映した。この実験は、災害現場や建設現場でドローンの効果的な活用を目指すために同省が募集した「インフラ管理、災害対応等に活用できる長時間飛行ドローンの実装化に参画する企業」の取り組みに採択されたもの。実験では3時間を超える連続飛行と、レーザー点群測量をしながら1時間を超える連続飛行に成功。ソフトバンクも通信の提供という立ち位置で参加した。
両機はバッテリーも含めて純国産で、ソフトバンクの担当者によると、安全保障の観点から国からの期待も大きく、測量分野における海外産機体からのリプレイスも狙っているという。
ソフトバンクは、上空の通信を軸にアミューズワンセルフ社製機体の販売や飛行代行、遠隔制御、業種別ソリューションなどを順次パッケージ化し、提供を進めていく予定。担当者は「長時間飛ぶ場合、当然目視外飛行も必要になってくるためソフトバンクの通信を介して遠隔制御する仕組みが強みになる」と話す。
ソフトバンクカスタムの双葉電子工業製ドローンも初めて解説
双葉電子工業製のドローンに専用カスタムを加えた機体も展示。紹介されたのは物流用のFMC-01と測量用のFMC-02。特にFMC-02にはソフトバンク仕様として、対象物と機体の距離を測定するセンサーを搭載している。これにより、Exif情報として撮影日時などと合わせて距離データを画像に埋め込むことが可能に。画像の内容と対象物までの距離情報を紐づけて解析することで、建築物のクラックの大きさなどを正確に分析することができる。また、物流用のFMC-01はレベル4向けの利用も想定しており、ソフトバンクが型式認証の取得などもサポートしていくという。
今後予定する風力発電施設のメンテナンスソリューションなどサービス面の展開も展示
ブースではソフトバンクが手掛けているドローンサービスも紹介。今後サービス提供を目指す、風力発電のメンテナンスを手掛ける韓国のドローンスタートアップ NEARTHLAB(ニアースラボ)のソリューションもその一つだ。同社の機体や画像解析技術、レポート作成ソリューションをソフトバンクが販売・飛行代行する予定で、展示資料によると、完全自律飛行により1基あたりの点検時間は15分以内。ディープラーニング基盤を活用した画像処理技術を活用し1日でデータ化を行い、約1週間でレポートを作成するという。