フューエルポンプモジュールや電子スロットルボディなどの自動車エンジン部品を提供する愛三工業は、エンジン発電機を搭載した開発中のハイブリッドドローンを展示した。
独自の発電システムをドローンに応用
ドローンはプロペラを上下に4枚ずつ配置したフレーム構造で、中心のフレーム内部にエンジン発電機を搭載し、上部にはパワーコントロールユニット(PCU)とバッテリーを搭載している。エンジン発電機とマウントは自社で設計しており、113ccの新開発エンジンに発電機を組み合わせた。
通常のハイブリッドドローンは軽量化の観点から2ストロークエンジンが用いられるが、愛三工業のドローンには4ストロークエンジンが搭載されていた。2ストロークエンジンに比べて部品点数が多く、大柄な設計となる4ストロークエンジンは飛行時間を確保するうえでは不利となる。しかし、環境への配慮を第一に考えて採用を決定したという。そして、機体重量30.5kgにもかかわらず、3時間の長時間飛行を実現した。
エンジン発電機はバッテリーの容量に応じて、エンジン出力を自動で調節する。Low発電では3.5kW/6500rpm、High発電では5.5kW/7800rpmでエンジンを回し、充放電を繰り返す。これにより、バッテリーを70~80%で常に維持しながら飛行する。
担当者は「難しい点は放熱性にある。エンジンが発熱するだけでなく、バッテリーも充放電を繰り返すことで熱を持ち始める。エンジンの排気部分は300~400度の高温になるため、周囲の電装部品に対する熱対策が欠かせない。エンジンは空冷で、プロペラの周辺にオイルクーラーを配置し、ダウンウォッシュの風を取り入れる仕組みにした。今回は開発中のプロトタイプを初めて公開したが、愛三工業はエンジン発電機の提供を含めて、他社とのドローン開発も選択肢に入れて取り組んでいきたい」と展示したハイブリッドドローンについて解説した。