ドローンにおける補助者とは、操縦中の操縦者が同時に行うことが難しい飛行経路の管理や第三者の立入管理などを行い、立入管理措置としての役割を担う人材のことを言う。

 補助者は離着陸場所や飛行経路周辺の地上や空域の安全確認を行うほか、飛行前の事前確認時に発見した障害物等の対処についての対応などが求められる。

補助者の役割

補助者の役割を説明する図版(第三者の立入管理、有人機等の監視、自機の監視、気象状況の監視)
(出所:資料をもとにせりぽよが作成)

 補助者の主な役割としては第三者の立入管理のほか、有人機等の監視、自機の監視、自機の周辺の気象状況の監視などがある。具体的には、ドローンの飛行経路の直下およびその周辺を常に監視し、第三者が近づいた場合には注意喚起を行い、衝突を回避させるための指示等を行うことにより、飛行経路周辺への第三者の進入を防ぐ。

 また、飛行経路周辺に有人機等がいないことを監視し、有人機等を確認した場合には操縦者に助言し、衝突を回避させることも補助者の役割だ。

 さらに、飛行中の機体の飛行状況や周辺の気象状況の変化を常に監視し、安全運航に必要な情報を操縦者等に対して助言する。

補助者の要件

 2024年5月現時点において、航空法で補助者に対する要件は定められていない。

 しかし、国土交通省が公開している「無人航空機の目視外飛行に関する要件」では、「操縦者」ではなく「操縦者等」に対して行われる教育訓練として、以下のようなものを掲げている。

1. 第三者の立入管理: 補助者は飛行経路の直下およびその周辺を常に監視し、第三者が近づいた場合は、第三者または操縦者に注意喚起を行い、第三者への衝突を回避すること。

2. 有人機等の監視: 補助者は飛行経路周辺に有人機等がいないことを監視し、有人機等を確認した場合には操縦者等に助言し、有人機等への衝突を回避すること。

3. 自機の監視: 補助者は機体の飛行状況(挙動、計画上の飛行経路とのずれ、不具合発生の有無等)を常に監視し、操縦者が継続的に安全運航を行うために必要な情報を適宜操縦者に助言すること。

4. 自機の周辺の気象状況の監視: 補助者は機体周辺の気象状況の変化を常に監視し、安全運航に必要な情報を操縦者に適宜助言すること。

5. 上記の要件に従い、適切に飛行させる操縦技量の取得のため、遠隔からの機体等の状態を把握、状況に応じた適切な判断およびこれに基づく操作等に関し座学・実技による教育訓練を、少なくとも10時間以上受けていること。

 具体例としては以下のようなものを想定する。

1. 飛行中に、カメラ等からの情報により、立入管理区画における第三者の有無等、異常状態を適切に評価できること。
2. 把握した異常状態に対し、現在の飛行地点(飛行フェーズ、周辺の地形、構造物の有無)や機体の状況(性能、不具合の有無)を飛行地点や機体の状況を踏まえて最も安全な運航方法を迅速に判断できること。
3. 判断した方法により遠隔から適切に操作できること。

 これらの教育訓練は法令により義務として定められているものではない。しかし、操縦者が突然気絶した場合など、万が一の際は操縦者以外の人材が操縦を代わらなければならない可能性はゼロではない。

 操縦者しかドローンを操縦できないという状態は非常にリスクが高いため、補助者も上記のような訓練を受けていることが望ましいとされている。

補助者の有無によるドローン飛行のカテゴリー・レベルの変化

 通常のドローン飛行にて想定されるDID上空での目視外飛行などは、補助者を配置するほか立入管理措置を設けることでカテゴリーⅡ飛行に含まれる。

 一方、飛行経路下に第三者が立ち入る可能性を排除できず、補助者や看板等を配置しない場合、無人地帯上空での飛行はレベル3.5飛行に該当し、機上カメラを活用して立入管理区画が無人地帯であることを確認しなければならない。

 有人地帯上空で補助者やその他の立入管理措置無しで飛行する場合は、レベル4飛行を含むカテゴリーⅢ飛行に該当し、厳格に定められた飛行要件や安全管理体制要件などをクリアする必要がある。