日本のドローンビジネスは今、大きな転換点を迎えている。「先端技術の実証実験」というフェーズは終わり、産業インフラの一部として本格的な社会実装と商用化の拡大期に入っている。

 本記事では、『ドローンビジネス調査報告書2026[『実証』から『社会実装』への転換 ── 産業基盤強化と2030年への戦略]』に掲載した全国の企業層・管理職など1076人を対象とした最新アンケート結果から、ドローン導入の“リアルな実態”をダイジェストで紹介する。

本格的な「実装」フェーズへの突入と高い投資意欲

 全国の企業を対象とした調査では、ドローンを「利用している」「利用したことがある」をあわせた20.3%の企業に利用実績があることがわかった。

 その、ドローンの利用実績がある219の企業のうち約半数(48.9%)がすでに「実運用」の段階に入っており、PoC(概念実証)を終えて業務への定着が進んでいる。さらに、現在ドローンを利用している企業の約6割(59.6%)が今後の関連投資を「拡大」または「やや拡大」すると回答しており、実運用での成果が次の投資を力強く後押ししている。

円グラフ:利用実績がある企業のドローン活用進捗段階
ドローン活用の進捗段階

建設・インフラ業界が牽引するユースケースと「内製化」の波

 具体的な用途としては、前回にも紹介した通り、「土木・建設(現場状況把握)」(24.6%)や「点検(設備外観)」(20.4%)が上位を占めている。こうした利用頻度の多い作業の増加に伴い、外注だけでなく「社員による社内利用(内製化)」へ移行する動きも見られている。なお、ドローンの飛行レベルは、「レベル1(目視内での操縦飛行)」の28.7%を上回って、「レベル2(目視内での自動飛行)」が32.9%で最多となり、運用の効率化・省人化が重視されていることがわかる。

棒グラフ:飛行レベルおよび意向
飛行レベルおよび意向(複数回答)

最大の導入効果は「安全リスクの低減」と「コスト削減」

 ドローン導入に期待する効果として、「社員の安全リスク低減・回避(43.6%)」と「直接コスト(人件費等)削減(40.5%)」が上位に挙がった。高所作業などの危険な業務をドローンが代替することで、労働災害防止と人件費削減の両面で確かな実利をもたらしている。

 ドローンの利用企業に限れば、「社員の安全リスク低減・回避」は53.2%と半数を超え、「直接コスト削減(41.8%)」を10ポイント以上上回る。導入検討中の未導入企業では「直接コスト削減」が48.6%とトップであり、わかりやすい「金銭的コストメリット」を重視して導入を検討するが、実際に運用を始めると、「安全面の実利」をより強く実感・評価するようになると考えられる。

棒グラフ:ドローン導入に期待する効果
ドローン導入に期待する効果

ビジネスの焦点は「撮影」から「データ・AI解析」へ

 取得したデータの解析対象は、「外壁タイルの浮き・剥離(42.6%)」や「コンクリートの内部欠陥(36.2%)」など、建物やインフラの劣化診断が主流となっている。さらに、データ解析におけるAI活用については、「高度に活用している(9.0%)」「一部の解析で活用している(37.8%)」をあわせて46.8%と約半数の企業がすでに導入を進めており、「検討中だが未導入(35.1%)」を含め大半の企業で自動化に向けた動きが加速している。

棒グラフ:データ解析で対象とする指標および意向(複数回答)
データ解析で対象とする指標および意向(複数回答)
棒グラフ:データ解析におけるAI活用状況および意向
データ解析におけるAI活用状況および意向

 一方で、データ活用の課題として「社内ルールが未整備(36.7%)」がトップであり、「社内で推進する人材不足(34.6%)」と「導入コスト(34.6%)」が同率で並んでいる。技術的な課題よりも、組織やプロセス面の課題が上位を占め、組織体制の構築が急務となっている。

棒グラフ:データ活用での課題
データ活用での課題

ドローンポートは約半数の48.4%が利用または利用を検討

 遠隔・完全自動運用の鍵となる「ドローンポート」について、ドローンの利用実績もしくは利用意向のある企業に聞いたところ、「利用している(17.6%)」「利用を検討中(30.8%)」の割合が高く、あわせて約半数の48.4%が運用の自動化・省人化に関心を持っている。

円グラフ:ドローンポートの利用状況と利用意向
ドローンポートの利用状況と利用意向

 ドローンは建設やインフラ業界を中心に普及し、最大の導入価値としてコスト削減とともに「安全・人命リスクの低減」が高く評価されている。活用の焦点は単なる撮影からデータ解析へと移っており今後のドローン市場における成長の鍵は、「組織的な運用ルールの整備」や「取得データのAI解析による自動化」、そして「投資対効果(ROI)の明確化」にあるといえる。

 『ドローンビジネス調査報告書2026』では、ここで紹介したデータのほかにも、

  • 導入・運用の課題
  • 運用体制(メーカー、国産ドローンの重視度等)
  • 運用実態(予算、活用頻度等)
  • セキュリティ対策(インシデント経験、保険等)

 などの設問や、それぞれについて業種別・従業員規模別の詳細なクロス集計データも収録する。事業戦略の立案に直結する詳細な分析結果を多数掲載しており、ドローン市場の現在と未来を正確に捉えるためにぜひ本報告書をご活用頂きたい。

「ドローンビジネス調査報告書2026」書影
書名ドローンビジネス調査報告書2026[『実証』から『社会実装』への転換──産業基盤強化と2030年への戦略]
春原 久徳、青山 祐介、伊藤 英、インプレス総合研究所
監修ドローンジャーナル編集部
発行所株式会社インプレス
発売日2026年3月27日(金)
価格CD(PDF)版・電子版 143,000円(本体130,000円+税10%)
CD(PDF)+冊子版  154,000円(本体140,000円+税10%)
判型A4判
ページ数562ページ
ISBN978-4-295-02419-4
URLhttps://research.impress.co.jp/report/list/drone/502419