テラドローンは9月14日、防衛等事業戦略発表会を開催した。防衛用ドローン向けの国産フライトコントローラー「Terra DFC」の開発・量産体制構築、ウクライナ・キーウを拠点とする防衛ドローン企業Kurin Technologies(以下、Kurin)への出資・連結孫会社化、チェコのティーアールエル(TRL Drones)と進めるジェット型迎撃ドローンの製品化検討の3点を発表した。
▼ドローンジャーナル - テラドローン、防衛用ドローン向け国産フライトコントローラー「Terra DFC」を自社開発
https://drone-journal.impress.co.jp/docs/news/1188906.html
国内でのドローン供給基盤を整備するとともに、前線で運用される小型ドローンから高速の長距離攻撃用無人機まで、迎撃ドローンの対応領域を広げる方針だ。
国産フライトコントローラー「Terra DFC」を量産へ
テラドローンは2026年5月、防衛装備庁が実施した一般競争入札で「モジュール型UAV(汎用型)教育用」300式を落札し、総額1億1,543万4,000円の製造請負契約を締結した。納期は9月30日。同社は国内外の防衛需要への対応に向け、国産ドローンの開発・量産体制の強化を進めている。
機体だけでなく、主要部品の国内供給体制の構築にも取り組む。7月には国内企業との業務提携により、ドローン向け高出力バッテリーパックの国内量産体制を構築すると発表。今回、新たにドローンの姿勢制御やモーター制御、センサー情報の処理などを担うフライトコントローラー「Terra DFC」を自社開発し、量産体制を構築した。防衛省向けに納入予定の汎用型防衛ドローンへの搭載を前提としており、必要な制御機能を1枚の基板に集約したという。
テラドローンの徳重社長は、フライトコントローラーの開発について「防衛用ドローンは、国内に生産基盤を持つことが安全保障上必要であり、またゲームチェンジャーであるドローンを活用して日本の中小企業を再活性化するという理念にも合致する」と説明した。
Kurinを連結孫会社化、前線向け迎撃ドローンを拡充
Kurinは、ウクライナ・キーウを拠点に防衛用ドローンを開発する企業である。長距離攻撃用無人機を対象とする迎撃機とは異なり、FPVドローンや偵察ドローン、Molniya(モルニヤ)型など、前線の低空・近距離で運用される小型ドローンを対象とした迎撃ドローン「KT-1」「KT-2」を展開している。テラドローンによると、両機はすでにウクライナの実戦環境で運用されており、Kurinは月産1,000機を超える生産能力を持つという。
テラドローンは、欧州防衛事業の拠点であるTerra Defense Europeを通じてKurinに出資し、同社を連結孫会社化した。テラドローンはこれまで、ロケット型迎撃ドローン「Terra A1」や固定翼型迎撃ドローン「Terra A2」など、主に長距離攻撃用無人機への対処を想定した製品を展開してきた。Kurinをグループに加えることで、前線の低空域における小型ドローンへの対応を製品ラインアップに加える。
徳重社長はKurinへの出資について、「ロシアとウクライナの軍が直接対峙する最前線の『キルゾーン』で信頼性を勝ち得ていることと、Kurin側にも世界市場へ進出したいという意向があることから、出資することになった」と説明した。
ジェット推進型の高速無人機に対応する迎撃ドローンを検討
さらにテラドローンは、ジェットエンジンを搭載した高速の攻撃用無人機に対応する迎撃ドローンの製品化検討を本格化する。ロシアによるウクライナ侵攻では、従来のプロペラ推進型Shahed-136に加え、ジェット推進型のShahed-238やロシア製派生型など、高速化した攻撃用無人機が運用されている。テラドローンは、こうした機体について500km/h級の飛行性能を持つとしており、迎撃側にも従来以上の速度性能や短い反応時間が求められるとしている。
同社は、チェコを拠点にロケット型迎撃ドローンを含む防衛向け無人機システムを開発するティーアールエルと、高速攻撃用無人機の飛行速度を上回ることを想定したジェット型迎撃ドローンについて、製品化と合弁会社設立に向けた検討を進める。既存のTerra A1やKurinの前線向け迎撃ドローンなどを補完し、高速の長距離攻撃用無人機に対応する上位の迎撃手段として位置付ける考えだ。
徳重社長は「ジェットエンジンによるドローンの高速化に対応し、迎撃用のTerra A1やKurinのフロントライン迎撃ドローンを補完する位置付けにしたい」と述べた。
