Terra Droneは、7月21日に防衛事業発表会を開催した。同社は、自律型AI迎撃型ドローン「Terra A1 Autonomous」の開発・テストを完了し、市場展開を開始したと発表した。
同機は、カメラを搭載した自律型の迎撃型ドローンだ。カメラで捉えた映像からリアルタイムでAI解析を行い、標的のドローンを認識して自律的に追尾することができる。飛行中に標的の位置と速度を推定し、先行きの位置を予測しながら飛行経路を自律的に補正するシステムとなっている。これによって、運用者の負担軽減と迎撃精度の向上を図る。今後、輸出規制の要件を満たした上で、欧州、中東、アジア、日本を含む市場への展開を目指すと発表した。
手動操縦の「Terra A1」をAIで自律化
同機のベースとなった「Terra A1」は、テラドローンの子会社であるウクライナのAmazing Dronesが開発する近距離・即応型の迎撃型ドローンである。その最大飛行速度は300km/hで自機を中心に最大32kmの範囲をカバーする。同社によると、ウクライナの実戦環境で運用され、攻撃型ドローン「シャヘド」の迎撃にも成功しているという。
従来型のTerra A1の運用は、操縦者が使用するゴーグルにドローンのカメラ映像が表示され、それを見ながら操作するFPV(First Person View)方式を採用している。操縦者の負担が大きく、迎撃の成否も操縦技能や外部システムとの連携に左右されることから、自動化が課題となっていた。
中間誘導と終末誘導を開発
テラドローンは2026年2月、AIを活用した自律化技術の開発に着手し、ウクライナで検証を重ねて「Terra A1 Autonomous」を完成させたという。
同機には、発射後に標的へ自動接近する「中間誘導」と、標的を自律的に検知・追尾する「終末誘導」を実装した。中間誘導は、標的との距離が7kmから200mとなる区間で自動接近する。終末誘導は800m以内で標的を検知・追尾し、迎撃可能な距離まで接近する仕組みだ。AIがカメラ映像から標的を認識し、その位置や速度を継続的に推定する。さらに、標的の将来位置を予測しながら飛行経路を補正することで、高速で移動するドローンへの接近・迎撃を支援する。
3機種を組み合わせた多層型防衛を構築
テラドローンは2026年3月23日、防衛装備品市場への本格参入を表明した。同年6月15日には、近距離向け迎撃型ドローン「Terra A1」を展開するAmazing Dronesを連結子会社化。さらに、広域・長距離向けの固定翼型の迎撃型ドローン「Terra A2」を展開するウクライナのWinnyLabも同じく連結子会社化している。実績のある迎撃型ドローン開発企業を子会社化することでグローバル展開を進めている。
また、子会社のTerra Inspectioneeringを通じ、ウクライナ・リヴィウを拠点とする固定翼型無人航空システムメーカーのBesomarと、偵察用ドローン「Terra C1」の提供を目的とした合弁会社(JV)の設立準備を開始していると発表した。
テラドローンは、「Terra C1」による偵察・監視、広域対応を担う「Terra A2」、近距離での迎撃を担う「Terra A1」を組み合わせ、脅威の早期把握から迎撃まで対応する多層型無人防衛ソリューションの構築を目指している。
徳重社長は、「ウクライナでは、攻撃型ドローンの襲来を検知して迎撃型ドローンで迎え撃っても、9割近くが任務を遂行できずに戻ってきます。今回、迎撃型ドローンの自律化に成功したことは極めて重要な前進だといえます」と話した。同社は今後、Terra A1 Autonomousを単体で展開するだけでなく、レーダーやセンサー、通信、指揮統制(C2)システムなどと連携させる方針だ。検知・識別・追尾・迎撃を一体で提供する統合型Counter-UAS(対無人航空機)ソリューションとして、各国の政府機関や防衛関連企業への提案を進める。
