AI画像認識技術を搭載した「飛ぶカメラ」である「HoverAir X1」シリーズを展開するZERO ZERO ROBOTICSは、最新モデル「HoverAir X1 PRO」と「HoverAir X1 PROMAX」を2025年5月27日から日本で販売を開始する。5月20日には、本機体の操縦体験や特徴紹介を行う新製品ブリーフィングが開催された。
小型・軽量モデル「Smart」から進化した新機体
ZERO ZERO ROBOTICSは、AI技術と高精度な制御システムを用いたスマートデバイスを開発する企業だ。これまで米国では125gの折りたたみ式ドローン「HoverAir X1」を展開していたが、日本の航空法では100g以上のドローンが規制対象となるため、折りたたみ機構を廃止するなどして99gに軽量化した日本向けの「HoverAir X1 Smart」を2024年春に発売し、話題を呼んだ。
※小型無人機等飛行禁止法や条例等により、重量に関わらず一切のドローンの使用が禁止されている場所もあるので注意
ボタンひとつで映える映像!AIフライング撮影モードが充実
HoverAir X1シリーズ最大の特長は、AIによる自動撮影機能だ。ボタンを押すだけで、あらかじめ設定された飛行スタイルに応じて自動で撮影を行う「AIフライング撮影モード」を搭載している。「フォローモード」では自分を追尾しながら撮影し、「ズームアウトモード」では周囲の風景をドラマチックに取り入れた映像が撮れる。自撮りに最適なドローンであり、映える映像がいとも簡単に撮影できる。
高性能なカメラを搭載し、より高品質な映像表現が可能に
新機体「HoverAir X1 PRO」(税込7万9,980円)は、視野角104°の1/2インチCMOSセンサーを採用したカメラを搭載し、最大4K60fpsでの撮影が可能。さらに上位モデル「PROMAX」(税込10万9,980円)は、1/1.3インチCMOSセンサーを採用し、8Kの撮影に対応する。前モデルの「Smart」では2.7Kまでの撮影に対応していたため、格段に映像品質が向上している。
Smartは100g未満のドローンとして、コスパ以上の性能を提供してきたが、今回発表された両機体は100g以上となるものの、12種類以上のAIフライング撮影モードに対応しており、初心者でも手軽にプロレベルの空撮が楽しめるようになった。
安全性も強化!衝突検知&全地形型飛行モード搭載
新機体には、Smartにはなかった衝突検知機能が追加されたことも大きな特徴と言える。後方接近センサーを搭載し、障害物を察知すると自動でブレーキがかかる仕組みだ。また、水面や雪原、崖の上など、ドローンが苦手とする環境でも安定して飛行できる「全地形型飛行モード」も追加されている。最大飛行時間はSmartが約10分であったのに対し、PRO/PROMAXは約16分。
CEOのMQ Wang氏によると、本モデルはクラウドファンディングで約470万ドルを集め、全米スキー・スノーボード連盟の公式カメラとして採用され、25名以上の米国代表選手が使用しているという。
「BEACON & JOYSTICK」で直感操作&プロポ化も可能
同時発売となる「BEACON & JOYSTICK」(税込3万5,980円)は、BEACONが発する電波を機体が受信することで追跡飛行させるアクセサリー。BEACONと右JOYSTICKを組み合わせることで、片手を使用して直感的な操縦ができるようになるのが面白い。さらに、片手操作の右スティックに左スティックを組み合わせると一般的なプロポに変形する。
BEACONに採用された1.78インチOLEDディスプレイで映像を確認しながら飛ばすことができ、スマートフォンなどをディスプレイとして接続することも可能。最大伝送距離は500mで、Smartにも対応(Smart使用時は約50m)。手動操縦の幅が大きく広がるアクセサリーだ。
会場では実際にプロポスタイルでの操縦を試すことができた。スティックは非常に滑らかに動き、ドローンへの指示も遅延なく届いていた。スティックの長さも指に馴染みやすく、意図した通りの飛行ができた印象だ。
法規制への対応と注意点
PRO/PROMAXはそれぞれ191.5g/192.5gと、100g以上のため航空法の対象となる。機体登録やリモートIDの搭載が義務となり、Smartに比べると使用するハードルは高くなっている。特に、自動追尾などのフォローモードは目視外飛行に該当するため、国土交通省の承認が必要となる。手軽に楽しむのであれば航空法に該当しない屋内での撮影などで使用するほかない。
こうした点についてWang CEOは、「PRO/PROMAXのリリース以来、日本のユーザーからも『欲しい!』という要望を受けて、今回の日本国内での発売となりました。ただし、米国内の仕様のままではなく、日本国内向けにモディファイしています。例えばリモートIDを内蔵していますし、BEACONも2.4GHzの電波帯のみに対応するようにしています。ただ英語から日本語に翻訳しただけでなく、日本向けに仕様を特化しているんです。そして、日本国内の各種の規制についても我々は理解しています。『法令を遵守して使っていただくことが重要です』ということを、マーケティングのチームとも協力して広めていきたいと考えています」と説明した。
また、広報担当者も「購入時に注意喚起を行い、SNSなどでも情報発信を強化していく」としている。
ドローン初心者から一歩先へ!映像クオリティを求める人に最適
「HoverAir X1 Smart」でドローン撮影を気軽に楽しんできたユーザーにとって、PRO/PROMAXはさらにハイクオリティな空撮を楽しめるステップアップとなるモデルだ。自動撮影はそのままに、より高精細な映像や本格的な操縦体験が可能となる。
ZERO ZERO ROBOTICSでは今後、ドローンスクール向けにも展開を検討しているという。初心者層の関心を捉えることで、ドローンに新たな風を吹き込む存在となるか、今後の動向にも注目したい。