DJIは2026年3月に8K360°ドローン「DJI Avata 360」を発表し、4月からデリバリーを開始した。本機はプロペラガードを一体化したローターピッチ約17cmのクワッドコプター。機首に2組のレンズとセンサーを持つ360°カメラを搭載し、同社のVRゴーグルDJI Goggles N3もしくはGoggles 3とDJI RC Motion 3を組み合わせることで、リアルタイムに360°映像を見ながら飛行が楽しめるドローンだ。2025年12月には同じく360°カメラドローンの「Antigravity A1」が登場するなど、360°の映像を用いたまた新しいドローンの楽しみ方に関心が集まっている。

Antigravity A1の衝撃から数か月、360°ドローン市場にDJIが本格参戦

 2025年8月にアクションカム・メーカーのInsta360が、同社の技術を用いた360°カメラドローンの「Antigravity A1」を発表した。それまでにもドローンに360°アクションカムを搭載して撮影を楽しむホビーユーザーはいたが、どうしても機体が写りこんでしまうという課題があった。Antigravity A1は機体の上下面にそれぞれ超広角レンズ付きのカメラを搭載し、“機体が映らない”360°映像を撮影できる画期的なドローンとして大きな話題となったのはまだ記憶に新しい。

 そんなInsta360陣営の動きを黙って見ていないのが、今やアクションカムでもInsta360、GoProと並ぶメーカーとなったDJIだ。Antigravity A1の発表からわずか数か月後には、DJIのFPVドローン「Avata 2」に360°カメラを搭載したようなドローンのスクープ映像がSNSに登場。その後、同年12月のAntigravity A1の発売前後にもDJIの“新型360°カメラドローン”と思われるスクープショットと情報が相次いでSNSを通じて世界中に流布されている。

 そして2026年3月、DJIから正式に「DJI Avata 360」が発表されるが、そのデビューも異例のスタイルだった。というのも、それまでDJIは正式発表の数週間前に、新製品の発表を匂わせるティザーをSNSにポストするものの、製品名やその姿はあくまでもベールに包んだ形での露出であった。しかしAvata 360は3月26日の正式発表の1週間程度前から、製品名とその姿をティザーとして公開していた。そして4月4日、Avata 360は市場にデリバリーが開始されている。

写真:ランディングパッドの上に並べられた製品
機体(右上)にDJI Goggles N3(左上)とDJI RC Motion 3(中央)、バッテリー3本と専用充電ハブ(右下)、ヘリパッドなどを同梱した「DJI Avata 360 Motion Fly Moreコンボ」キットと、スティック式コントローラーDJI RC 2(左下)。

「DJI Avata 2」から進化した機体設計を検証

 Avata 360はその名の通り、DJIのFPVドローン「Avata」シリーズの名を冠しており、プロペラガードが一体化した機体の佇まいは「DJI Avata 2」と似ている。ただし、Avata 360の機体はAvata 2に比べてひと回りほど大きい印象だが、本体やプロペラガードもAvata 2よりボリュームがあり、さらに機首に搭載された360°カメラジンバルの存在感はかなりある。また、プロペラがAvata 2の3枚からAvata 360では4枚に、離陸重量もAvata 2の377gに対してAvata 360は約455gと2割増しになった。バッテリーもそれに合わせて約20%も拡大されており、最大飛行時間はAvata 2と同じ23分となっている。

 機種のカメラジンバルは新開発の6400万画素1インチスクエアセンサーを2枚搭載し、カメラレンズも外径で約3cmの2.5mm広角レンズを上下に2個備えるため、かなり大きく重い。ただしジンバルとはいうものの、機械的にピッチ方向で最大-95~173°の範囲で稼働する1軸のみで、その他の軸はすべて画像処理による360°バーチャルジンバルとなっている。このカメラは「360°モード」で2個のレンズを上下方向に向けた状態になるのに対して、「シングルレンズモード」ではひとつのレンズを前面に向けた状態になる。

写真:ランディングパッドの上に並ぶ2機
Avata 360(左)とAvata 2(右)。
写真:機体下側のレンズ
最大画角200°の2.5mm f/1.9レンズ。レンズが下面にあるため傷つく可能性もあり、交換用レンズもアクセサリーとして用意されている。
写真:機体の上側のレンズ
360°モードでは2つのレンズがそれぞれ上下になる。
写真:360°モードで下側だったレンズが前側に回転し、前方を向いた様子
シングルレンズモードは下面側のレンズが前方に向く。

 また、機首にはLiDARセンサーと前方下方に向いた1対のビジョンシステム用カメラを装備。下方の赤外線センサーと360°カメラとの組み合わせで、全方向ビジョンシステムを構成。プロペラガードと相まって、高速で飛行できるSモード以外では、比較的安心して狭い空間にも入っていくことができる。

写真:機体前面を斜め下から見た様子
機体前面にはカメラジンバルの左右にLiDARセンサーとビジョンシステム用のカメラが並ぶ。
写真:機体下側
機体下面には放熱用のスリットと下方赤外線センサーがある。
写真:機体後方のバッテリー部分
Avata 360専用のバッテリーは3セル2700mAhの定格電力38.67Wh。
写真:バッテリーの充電ハブ
バッテリー3本を収容する充電ハブは、65W以上の入力なら並列充電が可能。