頭の動きと映像が連動、Avata 360のヘッドトラッキング機能を試す
Avata 360の操縦はスティック式コントローラー「DJI RC 2」との組み合わせに加えて、「DJI Neo 2」のアクセサリーにラインナップされている、VRゴーグル「DJI Goggles N3」とガングリップスタイルのモーションコントローラー「DJI Motion 3」との組み合わせが用意されている。このほか、Avata 2のセットとして組み合わされる「DJI Goggles 3」や「DJI FPV送信機 2」をそれぞれゴーグル、コントローラーに組み合わせて使用することもできる。ただし、ゴーグルによるヘッドトラッキングや「Easy Acro(簡単Acro)」といった機能は利用できない。試しにGoggles N3にFPV送信機 3を組み合わせてみたものの、Goggles N3のスクリーンに表示されるメニューをMotion 3を使って“指し示す”ような操作ができなかった。今回はもっぱらGoggles N3とMotion 3の組み合わせで飛行を行った。機体の設定などはDJI Neo 2やAvata 2に同じ組み合わせの操作系を使った時と同様、原則としてGoggles N3のメニューでそのほとんどが操作できる。
Avata 360では新たにヘッドトラッキング機能を搭載。Goggles N3を頭に装着して頭を動かせば、その動きに応じてスクリーン上の視野が移動する。360°カメラは上下のレンズの映像をスティッチングして(つなげて)あたかも自分の周囲を景色が球体状に包んでいるように見せているが、Avata 360では「DJI Mavic 4」と同じ「DJI O4+」伝送システムを採用し、ほとんど遅延を感じることなくリアルタイムにスティッチングした360°映像を表示する。最高8K60fpsの撮影映像に対して、ゴーグルに伝送される映像は1080p60fpsとなっているが、それでもクリアな印象のライブビューが楽しめる。
また、ヘッドトラッキング機能をオンにした場合、ゴーグルの映像は当然自分の顔を向けた方向の景色が映し出されるが、例えば機体が前進中に進行方向に対してそれ以外の方向を見た時には、画面左上に進行方向の映像が表示される。機首方向を見ながら機体を後進させたときには後方の映像が表示されるなど、飛行の安全が考えられたUIとなっている。
このヘッドトラッキング機能を使えば、例えば走行するクルマに並走するようなアングルを撮影する場合、ゴーグルを着けた顔を真横に向けてクルマを見据えながら、機首を前に向けて進むといったことができる。もちろん、録画した映像は360°全周囲の景色を記録しているため、動画編集時に並走するクルマのアングルを精緻に切り出すことが可能だ。こうした、“撮影はドローンの周囲を確認しながら飛行。編集時に希望のアングルを自由自在に切り出す”ことができるのが、360°ドローンたるAvata 360の面目躍如だといえる。
FPVの魅力を残しながら映像制作機へ進化
Avata 360はその名に「Avata」を冠していることから、“FPVドローンであるAvata 2に360°カメラ機能を搭載したドローン“と捉える向きは多い。ただし、実際にAvata 360に触れてみると、捉え方次第ではあるがFPVドローンとしてのAvata 2とはかなり趣の違うものとなっている。そのわかりやすい例がAvata 360の「簡単Acro」機能だ。Avata 2にも同じ機能が搭載されていて、Motion 3との組み合わせでループ、フリップ、ロール、180°ドリフトといったアクロバティックな飛行が、十時キーの操作ひとつで簡単にできる。
同じようにAvata 360でも「180°ドリフト」「フリップ」「ジュークロール」といったアクションが同じようにワンプッシュで可能だ。ただしAvata 2がこうしたアクションを実際に機体が宙返りするなどして行うのに対して、Avata 360ではドリフト以外は360°カメラの映像のアングルを、まるで機体が動作しているようにゴーグルのスクリーン上に表示するだけで、実際に機体はそのアクションをするわけではない。
また、Avata 2にはGPSなどによる機体の位置・姿勢制御が効いた「ノーマルモード」「スポーツモード」のほかに、いわゆるFPVドローンでいう“アクロモード”と同じ、こうした制御の入らない「マニュアルモード」も使える。しかしAvata 360にはマニュアルモードはなく、逆にDJIのカメラドローンと同じ「シネモード」が搭載されている。シネモードはDJIのドローンで以前は「トライポッド(三脚)モード」とも呼ばれていた、ドローンを極めてゆっくり移動させて緻密な動きの撮影を行うためのモードだ。
さらに細かいスペックを見れば、フレームレートに24fps、48fpsといった、映画やCMの撮影で使われることが多いレートが用意されているなど、激しいドローンの動きを楽しむ、撮影するためのFPVというよりは、「Mavic」や「Air」といった映像を撮影するためのDJIのカメラドローンに近い存在だといえる。事実、Avata 360のキャッチコピーは、Avata 2の「FPVドローン」のような“FPV”というキャラクターはなく、「フラッグシップ8K360°ドローン」と、まさに従来のDJIのカメラドローンの“360°カメラ版”ともいえるものとなっている。
Avata 360で撮影した映像は、機体に挿すmicroSDXCカードのほか、機体に42GBのストレージを備えており、8Kサイズの360°動画を約30分録画が可能。内部ストレージに記録した映像は、USB Type-Cケーブル経由でPCなどに転送できるほかWi-Fi 6にも対応しており、100MB/sの転送レートでスマートフォンのDJI Flyアプリに転送が可能。DJI FlyアプリやPCソフトウェア「DJI Studio」で、素材の360°映像から自在にアングルを切り出すことができる。また、画角も望遠域から超広角まで自由に切り取ることができ、さらにはアステロイド効果やドリーズームといった効果を与えることも可能だ。
