NTTドコモビジネスは、全国で深刻化する熊の市街地出没・被害の増加を受け、2026年4月1日より自治体向けに「熊対策ソリューション」の提供を開始する。

 同社はこれまでも自治体向けに熊対策に関する各種ソリューションを提供してきたが、このサービスではAIによる早期検知から住民への情報発信、現地調査業務の効率化まで各種ソリューションをラインナップとして体系化し、顧客それぞれの課題やニーズにあったソリューションを提供する。熊対策をデジタルで支援し、地域の安全確保と現場負荷の軽減に貢献する。

 市街地へ出没するアーバンベアや、気候変動の影響で冬眠しない熊の問題が深刻化し、全国で人身被害が発生している。環境省は熊を指定管理鳥獣に指定し、自治体にはクマアラートの運用や人間と熊の住み分けを管理するゾーニングの徹底が求められているが、電気柵の管理負担に加え住民からの連絡が相次ぎ、対応が追いつかない状況が続いている。

サービス概要

フェーズ1:検知・早期発見、フェーズ2:情報発信、フェーズ3:インシデント管理業務の効率化
熊対策の流れと対応ソリューション一覧

フェーズ1:検知・早期発見

 熊を早期に発見し、人身被害を未然に防止する。

  • ドコモIoTマネージドサービスfor 熊対策AI
     熊やイノシシなど4鳥獣の出没をAIで自動検知し、関係者へ即時通知するサービス。カメラで撮影した画像・動画をAIが解析し、特定の鳥獣だけを高精度で検出する。熊検知を実施するために必要な通信回線、通信機能付きトレイルカメラ(※1)、クラウドサービスをすべてパッケージ化して提供する。
    ※1 人や動物の動きを感知して自動で撮影する屋外設置型の無人カメラ
    サービス概要図
  • セルラードローン「Skydio X10」
     害獣の目撃情報や自動検知情報をもとに、高解像度カメラとサーマルカメラを搭載した「Skydio X10」を現場に迅速に出動させることで、害獣の出没現場の状況確認や獣道の発見、追い払いなどの必要な対策を安全かつ効率的に実施する。
    • 状況確認の安全性と効率性の向上
      Skydio X10に搭載された可視光カメラ、サーマルカメラの併用により発見頻度を向上。
    • 夜間機動力の向上
      害獣が活動しやすい夜間の自律飛行を実現するNightSenseとサーマルカメラを活用することで、安全で効率的な状況確認を実現。
    • 位置特定による効率化
      機体やカメラの緯度経度情報を活用し、害獣および獣道の位置特定による罠設置の効率化や住民への速やかな情報連携に貢献する。
    • スピーカーを活用した追い払い
      熊発見時にスピーカーを活用した追い払いを実施。追い払い後もドローンで追尾し、獣道を特定することで捕獲効率向上に貢献する。

フェーズ2:情報発信

 熊の検知情報を住民へ速やかに発信する。

  • 地域アプリLGPF
     地域アプリLGPF(※2)を通じて、住民がスマートフォンから熊の目撃情報を通報できる仕組みと、熊の出没状況を地図で確認できる機能を提供する。アプリ上で通報・確認が完結することで、住民の負担を軽減するとともに、出没マップや注意喚起などの情報発信を通じて、住民の回避・警戒といった安全行動につなげる。電話や窓口に集中しがちな通報をアプリへ分散させることで、自治体職員の負荷を抑え、対応リソースの最適化にも寄与する。また、ドコモIoTマネージドサービスfor 熊対策AIで熊を検知した際に、アプリにプッシュ通知でお知らせを出すこともできる。

※2 NTTドコモビジネスによる、地域住民、行政、地域事業者をつなぐ地域コミュニケーションの高度化ソリューション。地域のDXを推進するプラットフォームとして、各種デジタルサービスを統合するアプリケーションを提供している。

フェーズ3:インシデント管理業務効率化

 熊出没発信後のインシデント管理業務を効率化する。

  • 現地調査省力化ソリューション
     熊出没の発信を受けた後のインシデント管理業務について、受付から情報共有、現地での記録・報告、情報公開までの一連の流れをデジタルでつなぎ、ワンストップで効率化する。
     発信内容は庁内でリアルタイムに集約され、担当者間の対応判断・出動調整を支援する。現地ではタブレットなどから調査フォームへ入力し、写真や位置情報とひもづけて登録できるため、現場で記録が完結する。登録内容は庁内へ自動反映され、状況確認や公開判断を迅速化する。CSVでの集計・出力も可能。
     これにより、現地調査前の地図印刷や資料準備を不要にし、現場入力で記録をその場で完結させる。登録内容は庁内へリアルタイムに自動反映されるため、情報共有や公開判断、住民への周知までを迅速化する。結果として、二重入力や事後整理を削減し、調査の質向上と働き方の改善に寄与する。

 NTTドコモビジネスは今後、個体数管理や可視化といった領域への展開も視野に入れながら、全国での展開を進めるとしている。現在、複数の自治体で導入に向けた検討・調整が進行中だ。
 さらに、シカやイノシシなどの害獣を対象とした検知・発信の仕組みも含め、現場のニーズに応じたソリューションのラインナップ拡充を継続することで、自治体職員の負荷軽減と住民の安全確保に貢献するとしている。