2025年12月9日、AutoCoverは、茶園の被覆作業をドローンで自動化する技術が、農林水産省の「スマート農業技術活用促進法/開発供給実施計画」に採択されたと発表した。認定日は2025年10月31日。

 スマート農業技術活用促進法では、農業の生産性の向上を図るため、「生産方式革新実施計画」と「開発供給実施計画」の2つの認定制度を設け、スマート農業技術の開発・普及を後押ししている。AutoCoverは、茶園の被覆資材の被覆・除去をドローンで自動化する技術と、その供給サービスを行う事業者として認定された。認定を受けることで、金融支援や税制優遇などの支援措置を受けることができる。

茶園の被覆作業を行うドローンのイメージ
※合成イメージ

 抹茶や玉露などの高級茶栽培では、黒い遮光資材(寒冷紗)で茶園全体を覆う被覆(ひふく)作業が必要となる。足場の悪い急傾斜地での作業が多く、雨天時は資材が水分を含んで重くなり事故リスクを伴うほか、機械化が困難な作業が栽培面積拡大の障壁となっている。また、短期集中で行うため、繁忙期の人員確保も課題である。

 これらの課題に対し、AutoCoverはデジタルツイン技術と産業用ドローンを活用する。

  • 地形の3Dデータ化と最適ルート設計
     LiDAR搭載ドローンで茶園を高精度で計測し、地形やうねの形状をデジタル空間に再現。傾斜地でも衝突しない安全で最適な飛行ルートを自動生成する。
  • 独自アタッチメントによる自動展開・巻き取り
     物流ドローンに独自開発のアタッチメントを搭載し、空中から資材の展開・巻き取りを自動で行う。
  • 省力化
     従来の手作業と比較し、労働時間を約80%削減する。これまで数日がかりだった作業を数時間に短縮し、少人数運営を可能にする。

 AutoCoverは、2026年上半期に愛知県や京都府の茶園で被覆作業を想定した現場実証を開始する。2027年以降、茶園向け自動被覆サービスとして順次展開し、京都府、静岡県、三重県、鹿児島県など主要産地で実証やサービス提供の拡大を進める方針だ。

 茶園被覆技術を基盤に、他の作物資材の被覆、収穫物の搬送、圃場管理・測量・データ活用へと領域を広げ、中山間地の農業全体を支えるスマート農業プラットフォームの構築を目指す。また、愛知県の製造業パートナーと連携し、茶業を支えるエコシステムづくりに取り組むとしている。