2026年7月6日、NTT e-Drone Technology(以下、NTTイードローン)は、施設園芸における夏季の高温対策として、ドローンを用いた遮熱資材散布の実証実験を実施したと発表した。
ドローンを用いることで、高所作業を伴わずハウス屋根面への均一な散布が可能となる。この実証により日中のハウス内温度を晴天時で約5℃低減できることを確認した。
近年、夏季の記録的な高温が頻発化する中、施設園芸ではハウス内の温度上昇による作物の生育や品質への影響が課題となっている。ハウス屋根面に遮熱資材を塗布する方法は、従来の熱対策に次ぐ新たな選択肢として注目されている。自然換気や遮光カーテン、遮熱ネットなどと組み合わせて使えることも特長である。
一方、遮熱資材の人力による塗布は、高所作業に伴う危険性や広範囲を均一に塗布するための作業負荷、塗りムラといった課題があった。こうした背景から、NTTイードローンは、グループ会社のNTTアグリテクノロジーの農場において、ドローンを活用した遮熱資材散布の実証実験を実施した。
【実施概要】
| 実施場所 | 山梨県中央市 |
| 施設面積 | 約1ha |
| 使用機体 | BB102(消毒剤・消臭剤・石灰用散布・遮熱資材散布セットを使用) |
| 散布実施日 | 2026年4月28日 |
| 計測期間 | 2026年4月28日~5月12日 |
| 計測方法 | 環境ロガーによる簡易測定 |
散布区と対照区のハウス内温度を比較した結果、日中(9~16時)の温度低下効果として、晴天日の10日平均で約5.1℃(約33.8℃から約28.7℃)、曇天日の4日平均で約3.9℃(約27.4℃から約23.5℃)の低下を確認した。
また、資材使用量についても副次的な所見を得ることができた。メーカーの標準仕様より少ない散布量で同等の温度低下効果を確認し、標準量より約33%少ない資材量で目標の効果を達成できる見込みとなった。これは、農林水産省が掲げる「みどりの食料システム戦略」の環境負荷低減や資材使用量の最適化にも貢献する成果だという。
ドローンによる散布は、風の影響で微細な粒子が空中を漂いやすく、対象面以外への付着(オーバースプレー)だけでなく、隣接するほ場や周辺環境まで資材が飛散・付着するおそれがある。とくに微細な粒子に霧化して散布するアトマイザー方式は、こうした飛散が生じやすいとされる。
これに対し同実証では、ドローン「BB102」に消毒剤・消臭剤・石灰用、遮熱資材散布セットを装着し、圧力式吐出ノズルから対象面へ向けて直接届ける散布方式を採用した。さらに、資材の特性に応じて粒子径を最適化することで、周囲への飛散を抑えながらハウス屋根面への均一な塗布を実現した。
NTTイードローンは、実証で得た知見をもとに施設園芸における夏季の高温対策の新たな選択肢としてドローンを活用した遮熱資材散布を提案していく。今後、農業資材メーカーとの連携を強化し、作物や資材の特性に応じた最適な散布条件の確立に取り組み、現場で活用しやすいサービスとして普及を図る方針だ。
