2026年6月3日、ブルーイノベーションは、東京都立産業技術研究センター(以下、都産技研)の公募型共同研究に採択され、ドローンを活用した災害初動対応全自動化モデル「BEPポート|防災システム」の機能拡張を進めていることを発表した。

 この開発では、従来の津波避難支援を起点とした運用から、地震・津波・洪水・土砂災害・林野火災など、複数災害に対応可能な「広域災害対応インフラ」へと発展させ、災害発生時には「避難広報」「被災状況確認」「道路寸断・緊急輸送道路・重要インフラの状況把握」「要救助者捜索」などの初動対応を自動で行う次世代防災インフラの社会実装を目指す。

写真:ドローンポートと飛行するドローン

 近年、地震や津波、豪雨災害の大規模化・広域化が進む中、自治体は複数地点への初動対応が求められている。一方、津波警報時は、安全確保の観点から現地での確認が制限される場合もあり、現地の状況を十分に把握できないという課題があった。そのため、迅速な初動対応と職員の安全確保を両立する手段が求められている。限られた職員数で広域災害に対応する自治体も増えており、従来の方法では対応しきれないケースも課題となっている。

 ブルーイノベーションは、ドローンによる自動化・遠隔化を通じて、「住民の安全を守りながら、職員を危険区域へ向かわせずに災害対応できる」防災の実現を目指す。

 この開発では、ブルーイノベーションの独自デバイス統合プラットフォーム「Blue Earth Platform(BEP)」を基盤に、以下の機能を実装する。

1. Jアラート連動による即時出動とマルチミッション・連続飛行機能

 Jアラートの受信と連動し、1分以内にドローンが自動で離陸。「避難広報」「被災状況の確認」「要救助者の捜索」など、複数の災害対応ミッションを自動で連続実行する。ミッション終了後はドローンポートへ自動帰還し、自動充電後に次のミッションへ移行する。人手による再設定や再出動を必要とせず、災害初動におけるタイムロスを最小限に抑える。

写真:モニターに表示されたドローンからの映像を指差す様子
安全な場所から広域の状況を把握

2. 複数機体による同時運用・広域連携

 複数のドローンポートを連携させ、広域エリアを分担してカバー。例えば、2拠点のポート配置により、従来は人手と時間を要していた約10kmの沿岸部を、約7分で全域確認できる見込みである。これにより初動対応を「自動化・同時並行化」し、意思決定までの時間を大幅に短縮する。

システムの概念図
システムの概念図

「広域災害時の初動対応」イメージ動画。自治体における災害対応を想定し、連続飛行や複数機体による同時運用など、システムの活用イメージをわかりやすく紹介している。

 このシステムの導入により、災害発生直後の「空白の時間」を最小化し、データに基づいた迅速な意思決定を支援する。また、津波警報時や土砂災害警戒区域など、危険区域への職員派遣を低減させ、災害対応時の安全確保にも貢献する。少人数の自治体でも、複数地点の同時状況確認や避難広報を効率的に実施可能となる。

  • 津波・洪水対応
    Jアラート連動による1分以内の自動離陸により、人の手を介さず全沿岸・河川域の避難広報と状況確認を同時に実施。
  • 広域捜索
    複数機により広範囲の状況を上空から確認し、要救助者等の早期発見を支援。
  • インフラ被災状況把握
    道路・橋梁・河川などの被災状況を広域かつ同時に把握し、復旧判断の迅速化を支援。

 開発は最終調整段階にあり、2026年6月末の開発完了を予定している。

 今後、沿岸部自治体に加え、豪雨・土砂災害リスクのある内陸部・山間部自治体への展開も視野に、実証・導入を加速させる。将来的には複数の自治体に展開し、広域災害に対応可能なドローンインフラネットワークの構築を目指す方針だ。