DJI Agricultureは、2026年4月27日から5月1日までブラジル・リベイランプレトで開催されているAgrishow 2026において、第5回となる年次報告書「Agricultural Drone Industry Insight Report (2025/2026)」を発表した。この報告書では、世界各国の政策が「自由化」「標準化」「戦略的統合」に向かう傾向にあることを指摘している。

圃場の上を飛行するドローン

 DJI Agricultureは、世界各地3,500か所のサービス・修理センターネットワークを強化し、ドローン運用の標準化を推進してきた。2025年末時点で60万台以上のDJI農業ドローンが世界で利用されている。この技術の普及により、約4億1,000トンの節水を実現した。これは、約7億4,000万人分の年間飲料水消費量に相当する。また、5,100万トンの二酸化炭素排出量を削減しており、樹木2億4,000万本の年間炭素吸収量に匹敵する成果を挙げている。

 DJI Agricultureグローバルセールス部門責任者のYuan Zhang氏は、「農業用ドローンはもはや物珍しい存在ではなく、今や世界中で欠かせない農業機械となっている。ブラジルにおいて、DJIドローンはコーヒー、大豆、トウモロコシ、サトウキビ、牧草といった主要な作物に広く活用されている」と説明し、「世界的な普及が進む中、DJI Agricultureは、7,000名以上の認定インストラクターから成るグローバルネットワークを通じてトレーニングを提供しつつ、オペレーター向けのサポートネットワークをさらに強化していく。こうした継続的な投資は、革新的なドローン技術を通じて農家の作業効率を向上させ、持続可能な形で増産を支援するという当社の強いコミットメントを具現化したものだ」と述べている。

 報告書では、世界各国の多様な作物における農業用ドローンの活用事例を、複数のケーススタディを通じて紹介している。ブラジルでは、農家が「DJI Agras T25P」「DJI Agras T70P」「DJI Agras T100」などの農業用ドローンを導入し、飼料管理の全工程の精密作業をカバーすることで牧草の更新効率と生産性を大幅に向上させている。雑草の群生箇所にスポット散布を行うことで除草剤の使用量を最大35%削減すると同時に、圃場全体の散布や播種をドローンで行うことで土壌の踏み固めをなくし、薬剤飛散を抑え、畜産業のカーボンフットプリントを低減するなど、環境保護の面でも利点があるとしている。

 また、農業用ドローンによる精密散布、作業効率、経済性、持続可能性について、信頼性の高いエビデンスに基づき検証した複数の新たな圃場試験および学術研究にも触れている。農薬散布の安全性を向上させるため、UAPASTFなどの組織はドローンによる薬剤飛散(ドリフト)試験の結果を踏まえたガイドラインを策定。より高度なドリフト試験により、精度や安全性が高く法令を遵守した圃場オペレーションが可能となる。

 こうした研究成果は、エビデンスに基づく政策や市場の発展を推進し、農業ドローン産業の急速なグローバル拡大をさらに後押ししている。具体例として、ブラジル国家民間航空庁(ANAC)は、反復的な農業オペレーションを想定した「標準シナリオ」を確立するため、ドローン関連規制を改定した。カナダでは、Transport Canadaがカナダ航空法規則を改正し、農業用ドローンの運用規則を簡素化することで精密農業を支援している。

▼「Agricultural Drone Industry Insight Report (2025/2026)」全文
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