2026年4月8日、ペガラジャパンは、鳥獣害対策のAIソリューション「BirdShield AI」が、国連開発計画(UNDP)が運営するデジタルソリューション・プラットフォーム「Digital X Solution Catalogue(デジタル・エックス・ソリューション・カタログ)」に掲載されたことを発表した。同技術はジンバブエ共和国での実証を通じて農業現場の鳥害対策に活用され、日本の漁業現場への応用も進む、スケーラブルで再現性の高いリバースイノベーションとして評価されている。

鳥害・鳥獣害対策のAIソリューション「BirdShield AI」概要図

 農作物や水産資源へ被害をもたらす鳥獣害は、食料安全保障や農漁業従事者の生活に深刻な影響を及ぼしており、アフリカやアジアをはじめ世界中の地域社会の課題となっている。UNDPはDigital Xプログラムを通じて、こうした社会課題の解決に資するデジタルソリューションを世界各地から発掘・支援し、各国政府やUNDP事務所との連携によって規模を拡大させる取り組みを進めている。

 BirdShield AIは、AIとドローン、現場からの通報データを組み合わせることで、鳥害の早期検知と非致死的な追い払いを行うモジュール型ソリューション。現場の農家などがスマートフォンなどから鳥の飛来情報を通報し、データを集約化する。リアルタイムに「危険度の高いエリア」のリスクマップを生成し、AIモデルとドローン観測により、大量発生する鳥の動きや監視高リスクエリアに対して、AI搭載ドローンが捕食者音などを用いて非致死的に鳥を追い払う。従来の毒性の強い薬剤散布や人力での追い払いとは異なり環境負荷が低く、費用対効果が高く、特定種に限定されないスケーラブルで再現性の高いアプローチを提供する。

 BirdShield AIは、UNDPジンバブエおよび現地政府機関との連携のもと、小規模穀物の大敵であるQuelea(クエリア)鳥対策としてフィールド実証を行った。その結果、コミュニティの聞き取り調査や現地観察により、農家世帯がこれまで手作業の鳥追いに費やしていた時間を大幅に削減し、女性の収入創出活動や子どもの学習時間に振り向けられるようになることを確認した。

 アフリカの農業現場で得た知見や技術をもとに、日本国内の漁業現場における鳥獣害対策にも適用が進んでいる。ジンバブエでの鳥害対策で蓄積したデータとAIモデルを活用し、日本の水域におけるカモ類などによる被害軽減に応用することで、「グローバルサウスで生まれたソリューションを日本の課題解決に生かす」リバースイノベーションとしての展開を目指している。

 Digital X Solution Catalogueは、UNDPのChief Digital Officeが運営する「Partnerships for Scale Program」の一環として、世界各地の実証済みのデジタルソリューションを収集・可視化し、UNDP事務所や各国政府とのマッチングとスケール支援を行うためのカタログである。BirdShield AIは、「Scalable, non-lethal AI-powered early-warning system for global bird-related crop damage(鳥害に対するスケーラブルで非致死的なAI早期警戒システム)」として掲載されており、マルチカントリー展開や制度組み込みを前提としたソリューションとして評価されている。

【参考】ジンバブエでのクエリア鳥対策の取り組み(UNDP Accelerator Labs YouTubeチャンネル)