KDDI、KDDIスマートドローン、清水建設は、2026年1月19日から20日にかけて、北海道縦貫自動車道七飯町大沼トンネル峠下工区新設工事の建設現場において、衛星ブロードバンド通信「Starlink」を活用したauエリア構築ソリューション「au Starlink Station」と、自動離着陸・充電機能を備えたドローンポート「Skydio Dock for X10」を活用した遠隔巡回の実証を実施した。

 追加工事や機器の敷設を行うことなく、あらかじめ設定された飛行ルートに従ってドローンが山岳トンネル坑内を自律航行し、ドローンのカメラ映像をもとに遠隔巡回できることを確認した。

 また、au Starlink Stationを活用し、最小限の設備で約4kmの通信エリアを構築。切羽付近を含めたトンネル坑内でも音声通話やデータ通信、緊急時を想定した連絡が可能なことを確認した。

ドローン飛行制御と映像伝送の仕組みを示す図。クラウドや遠隔監視も含む。
実証のシステムイメージ

 山岳トンネルの建設現場では、強大な土圧や地震などに伴う掘削面(切羽)、支保部材の変状、排水設備の故障などによる坑内冠水などに即時対応する必要があり、一般的には人が定時巡回を行って坑内を監視している。

 トンネル坑内の通信環境は、進捗に応じて固定カメラやWi‑Fi機器を設置し、必要に応じて通信ケーブルの延伸、移設・再設定を行いながら状況を確認する。しかし、通信環境が脆弱であるため坑内全体を確認することができない課題がある。また、落盤後の切羽確認や災害発生時には、状況把握のため作業員が危険な場所に近づく必要があり、二次災害のリスクを伴う。

実証について

 今回の実証では、au Starlink Stationを活用して通信エリアを構築したトンネル坑内において、Skydio Dock for X10による自律航行の遠隔操作および3Dモデルの確認を、北海道亀田郡七飯町の大沼トンネル峠下工区新設工事インフォメーションセンター、東京都中央区の清水建設本社、東京都江東区にある温故創新の森NOVAREの3拠点から行い、遠隔巡回の実証に成功した。

 Starlinkを活用した4G LTEの通信エリア化により、大容量通信を必要とするドローン遠隔操作や映像伝送が可能となる。また、トンネル坑内の掘削状況に応じて子機を追加することで、通信エリアを柔軟に拡張できる。

写真:モニターに映し出されたトンネル坑内の様子、地図。3人の社員
大沼トンネル峠下工区新設工事インフォメーションセンターから遠隔操作する様子
写真:モニターに映し出されたトンネル坑内の様子を確認する5人の社員
清水建設本社から確認する様子
写真:モニターに映し出されたトンネル坑内の様子を確認する5人の社員
温故創新の森NOVAREから確認する様子

実証内容

トンネル坑内巡回業務にドローンポートを活用、現地を無人化

 Skydio Dock for X10に格納されたSkydio X10は、あらかじめ設定したスケジュールに基づき自動で離陸する。実証ではトンネル内を自律航行し、Skydio X10の高精度カメラで撮影した映像をリアルタイムに各拠点へ伝送することで、現地を無人化し遠隔からトンネル内の巡回業務を行った。

写真:雪が降り積もるトンネル前に設置されたドローンポート「Skydio Dock for X10」と、ドローン「Skydio X10」
トンネル前に設置したドローンポート「Skydio Dock for X10」と、ドローン「Skydio X10」
写真:建機などがあるトンネル坑内を飛行するドローン
トンネル坑内を巡回する「Skydio X10」
写真:ドンネル坑内に設置された、衛星ブロードバンド通信「Starlink」を活用したauエリア構築ソリューション「au Starlink Station」
トンネル坑内に設置された「au Starlink Station」

平時のトンネル坑内巡回

 平時の活用を見据え、ドローンで撮影した画像から切羽部分を3DGS(※1)で3Dモデル化、サーマルカメラを利用したトンネル内壁面の漏水検知の検証も併せて実施し、活用できることを確認した。

※1 3DGS(ガウシアンスプラッティング):複数写真から高品質な3D空間を高速生成する技術。詳細な情報を持つ粒子で空間を表現し、写真のようにリアルな再現が可能。

3DGSで生成したトンネル坑内の3Dモデル
3DGSで生成した3Dモデル

有事の際の検証

 有事の活用も見据えて、遠隔地からドローンを即座に発進させ、人が立ち入る前に切羽の安全状況を確認した。緊急時に人が危険な現場に行かずに遠隔から即座にドローンの自律航行ができること、目視で坑内を十分確認できない暗所であっても坑内状況を確認できることを実証した。

実証場所

ドローン映像伝送元北海道縦貫自動車道 七飯町 大沼トンネル峠下工区新設工事(建設現場)
ドローン映像伝送先清水建設本社(東京都中央区)
温故創新の森NOVARE(東京都江東区)
大沼トンネル峠下工区新設工事インフォメーションセンター(北海道亀田郡七飯町)

各社役割

清水建設実証現場の提供、実業務を想定した検証の実施
KDDI「au Starlink Station」の提供、実証の統括・管理
KDDIスマートドローン「Skydio Dock for X10」の提供、運航

 今回の実証により、山岳トンネル坑内における通信環境構築とドローンによる遠隔監視の有効性を確認した。遠隔地から坑内巡回を実施することで、現場へ移動する時間を削減することができる。また、危険箇所への立ち入り回数を大幅に削減し、作業員の安全確保に貢献した。切羽の3Dデータ化により、業務の効率化と施工管理を高度化することができた。

 今後、この実証で構築した運用体制を全国の掘削現場へ本格的に展開する方針だ。

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